田辺三菱製薬 新本社ビル・加島オフィス棟(プロジェクト概要)
プロジェクト概要異なる場所で同じ働き方の質を追求した
製薬会社の2つのオフィス
田辺三菱製薬が本社エリアの保有施設の最適化の一環として、大阪・道修町に本社ビル、加島事業所内にオフィス棟を並行して新設するというプロジェクト。同社は国内で最も歴史ある製薬会社で、大阪・道修町を拠点に成長・発展してきた。1990年代から2000年代にかけて複数の製薬会社の合併を重ねたことを背景に、点在する拠点をまとめ、本社ビルおよび加島オフィス棟に統合・新設し、大阪から世界に向け、発展する企業像を発信したいという想いがあった。新社屋の建設を通じて社内外の様々なステークホルダーとともに更なる発展を遂げるべく、企業の歴史と未来の発信、創造的な職場環境、災害対応、地域貢献などを盛り込んだ”Heart & Head Quarters”という事業コンセプトを掲げた。
山下PMCは基本計画段階から参画。事業コンセプト”Heart & Head Quarters”に込められた想いを確実に形にできるよう、半年かけて発注図書を構築した。本社ビルには企業の顔となり、かつ道修町の街並みづくりに貢献で”きる外観およびパブリックスペースが求められた。平面計画には社員間のコミュニケーションを促しながらセキュリティを守るといった、相反する要望を反映させる必要があった。そして本プロジェクトならではの特徴として、本社ビルと加島オフィスという2つの拠点の働き方の質を揃える必要もあった。事業所内にある加島オフィスには、本社ビルとは異なり象徴性は求められない。だがオフィス機能や食堂、ロビー等共用部の質は一定にしなくてはならなかった。そこで山下PMCは、2つのオフィスそれぞれの設計施工者からの提案にブレが出ないよう工夫した。発注図書の一部となる性能基準書で建物の外観や機能、必要諸室に求められるグレードを明確化した。さらに基本計画図を参考図として添付、施設内の交流性や周辺環境とのつながりに求められる条件を明示した。
基本計画段階でしっかりとした骨格をつくり、発注図書で適切なグレード設定を行った結果、2つの拠点で設計施工者や工事期間が異なる中、要求水準以上の提案を引き出し、実現することができた。さらに自社保有施設で必要となる家具メーカーやビル管理会社の選定支援も行い、総合的に事業主を支援した。
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新本社ビル 14階 カフェテラス 屋上庭園を望む開放的な空間で、
打ち合わせや加島オフィス棟から来た社員のサテライトスペースなどとしても活用される。 - 新本社ビル 13階 食堂 一般的な島状のテーブルの他、ボックス席やカウンター席など多様な座席がある。
- 新本社ビル 3階 大会議室 1室75名収容で、2室をつなげることで200名収容できる。
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新本社ビル 2階 応接室の室名札 暖かみのある手づくりの陶板で、外装のテラコッタとの共通性を表現。
設計者からの積極的な提案を実現させた。 - 新本社ビル 公開空地とロビーのつながり。
- 新本社ビル 執務スペース (写真提供 田辺三菱製薬)
- 新本社ビル リフレッシュコーナー 各執務スペースに付属し、打ち合わせや休憩ができる。
- 加島オフィス棟 外観 (写真提供 田辺三菱製薬)
- 加島オフィス棟 食堂 (写真提供 田辺三菱製薬)
- 加島オフィス棟 執務スペース (写真提供 田辺三菱製薬)
- 加島オフィス棟 オープンパントリー (写真提供 田辺三菱製薬)
プロジェクト概要
事業主 | 田辺三菱製薬株式会社 |
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建物用途 | オフィス |
PM/CM業務期間 | 2011年8月〜2015年5月 |
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PMr/CMr | 山下グループ |
所在地 | 大阪市中央区 |
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延床面積 | 約17,000m2 |
規模/構造 | 地下2階、地上14階/S造、SRC造、地下1階柱頭免震構造 |
基本・実施設計者・工事監理者 | 株式会社大林組 大阪本店一級建築士事務所 |
工事施工者 | 株式会社大林組 |
所在地 | 大阪市淀川区 |
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延床面積 | 約8,500m2 |
規模/構造 | 地上4階/S造 |
基本・実施設計者・工事監理者 | 清水建設株式会社 一級建築士事務所 |
工事施工者 | 清水建設株式会社 |
■山下PMC担当者
鴨下清、野村康典、炭山数文、土橋太一
関連する用途
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オフィス
多くの業界が国内のみならずグローバルな視点をもって事業を推進されているなか、最近はカーボンニュートラルへの対応も考えていく必要に迫られています。自社オフィスにおいては、企業理念を体現するブランディングの実現や、イノベーションの創出を促す空間、web会議が根付いたことへの施設側の対応が求められています。また、テナントオフィスにおいては、採算性の向上や周辺競合施設との差別化を図るブランディングに加え、在宅勤務の増加によるオフィス面積減少の動きへの対応など、新たなオフィスビルの構築が求められています。
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