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田辺三菱製薬 新本社ビル・加島オフィス棟(後編)

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[2012年6月〜2015年5月]デザインの評価に説得力を持たせる

ロゴマークの手のひらに見立てたテラコッタで、
地球を手で支えるというメッセージを込めた外装デザイン。
我々が社内に向けて説明すると誰もがわかってくれる、
明快なコンセプトでした。(山内)

各ゼネコンからの提案を、どのように評価されたのでしょうか。

鴨下
コストをのぞいた主な評価項目は、人、実績、提案力の3点です。まず人というのは、わずか1時間程度のプレゼンテーションにおける評価ではありますが、コミュニケーションの取りやすさを確認させていただきました。2つめの実績はオフィスビルの設計・施工実績ですが、各社いわゆるスーパーゼネコンで、いずれも遜色はありませんでした。最後の提案力では、短い提案期間の中で発注図書を読み解き、与条件を建物に反映させているかどうか、設計者の能力を判断させていただきました。
野村
発注図書を通して要望をしっかり読み取ってくれるかどうかは、特に大事です。プロジェクトを進める際にチームの一員として、しっかりと話を聞いて欲しいので。
鴨下
提案力に関しては、社員同士のコミュニケーションを促す建築計画、地域や社会との接点を持たせる外構計画、省エネ、BCP、施工計画などの項目に分けて評価します。そして総合力の高い会社を選定することになるのですが、新本社ビルの場合、大阪・道修町の歴史性を含む田辺三菱製薬の特徴を建物に反映し、表現できているかということが最終的な判断のポイントになりました。選ばれた大林組の案は、田辺三菱製薬の手のひらをかたどったロゴマークから発想した、手の甲をイメージさせるテラコッタの外装を用い、地球を手で支えていくという企業メッセージを外観に込めていました。
山内
これは私たちプロジェクトチームが社内に向けて説明すると誰もがわかってくれる、明快なコンセプトでした。
鴨下
また道修町通りが薬問屋街だった頃の縦格子のイメージを継承するために、テラコッタを縦格子状に組み合わせ、素材感まで一貫した強いデザインコンセプトが評価につながりました。
西
ゼネコン選定時にまとめていただいた比較評価書も、提案を詳細かつ公正に精査しつつビジュアルを交えて見やすく構成されており、とてもよかったです。弊社では選定の際に、当然のことではあるのですが、仕様を見定めた上でコストを最重要視してきています。しかし今回は本社オフィスという特性もあって、我々が提示したコンセプトをいかに具現化できるかという提案力も重視して、コストと提案力を1:1で評価することとしました。おかげさまでスムーズな選定作業ができたと思います。

一般的な技術提案の場合、施工面における技術力が評価されるイメージがありますが、本プロジェクトの場合は本社ビルならではでしょうか、事業コンセプトの表現力などデザイン面を重めに評価し、結果的に事業主の想いを実現できる案が選ばれている印象です。デザインは明確な指標での評価が難しい面がありそうですが、評価書にどのような工夫をしたのでしょうか。

客観的な評価が盛り込まれた評価書は説得力があり、
社内の承認をスムーズに得ることができました。(西)

鴨下
評価書では、プロジェクト会議に参加するすべての人が評価しやすいように、ビジュアルと表を駆使したわかりやすい表現を心がけました。まず構造や工法といった技術、そして品質性、機能などについては、項目ごとに評価を示し、費用対効果をひと目で比較できる資料を作成しました。建物のデザインに関しては、たとえば外観ならばパースを並べた上で、設計者が事業コンセプトをどう解釈し、どのような材料を採用したのかというように、デザインの根拠を示しました。さらに資料のページ数を割いて、評価項目についての説明書も用意するなど、ブレイクダウンしました。:1で評価することとしました。おかげさまでスムーズな選定作業ができたと思います。
評価書の一部。各社の案のパースと共に、デザインコンセプトとそれに対する評価をまとめ、比較検討しやすいようにレイアウト。
野村
細分化した資料はこれまでも作成していましたが、今回は特に見やすさを意識して、表現に工夫を凝らしました。
西
弊社では、設備投資における技術的な評価会議を経た後、経営層会議にかけるという承認プロセスを踏みます。それぞれの会議の参加者が理解しやすく、客観的な評価が盛り込まれていることが重要でした。我々担当者だけの意見では、特にデザインのような数字であらわしにくい部分については評価に説得力を持たせにくいのですが、今回は外部の専門家による評価をあわせて示すことができ、社内の承認をスムーズに得ることができました。

関連する用途

  • オフィス

    多くの業界が国内のみならずグローバルな視点をもって事業を推進されているなか、最近はカーボンニュートラルへの対応も考えていく必要に迫られています。自社オフィスにおいては、企業理念を体現するブランディングの実現や、イノベーションの創出を促す空間、web会議が根付いたことへの施設側の対応が求められています。また、テナントオフィスにおいては、採算性の向上や周辺競合施設との差別化を図るブランディングに加え、在宅勤務の増加によるオフィス面積減少の動きへの対応など、新たなオフィスビルの構築が求められています。

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