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週刊 施設参謀

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公共建築のコスト管理を考える~デザインビルド(設計・施工一括発注)方式~(前編)

昨今、公共工事においてコンストラクションマネジャー(以下、CMr)の導入が積極的に採用されるようになりました。これは、2014年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下、品確法)が改正されたことが大きな要因ですが、ポイントは以下3つです。

品確法改正のポイント

【Ⅰ:目的と基本理念の追加】
・担い手の中長期的な育成・確保
・賃金、安全衛生等の労働環境改善など

【Ⅱ:発注者業務の明確化】
・予定価格の適正な設定
・低入札価格調査基準や最低制限価格の設定
・計画的な発注、適切な工期設定、適切な設計変更など

【Ⅲ:多様な入札契約制度の導入・活用】
・技術提案交渉方式(民間ノウハウ活用)
・段階的選抜方式など

上記の内、ポイントⅠやⅢにより山下PMCを含むCMrの導入について各自治体内で検討されるようになり、採用に至っています。そして採用後に特に期待される業務(民間ノウハウの活用)がポイントⅡに関わるコスト関連支援業務であり、建設プロジェクトに関わる各種支援業務の中でも重要な業務の一つにあげられます。
本記事では多様な発注方式の導入によって、(デザインビルド方式、以下、DB方式)を採用した際に生じる企画段階時の予定価格の設定やコスト増減管理の手法の一例と課題について述べていきます。

コスト管理を健全に実施するためのポイント

建設プロジェクト期中のコスト管理を健全に実施していくためには、予定価格の適正な設定(民間では工事費を含めた事業予算の設定)が重要なポイントになります。この予定価格が市況から外れていると不調や不落に陥ります。仮に不調を免れても、施工者にとって厳しい工事費で受注した建設プロジェクトは、後の設計変更に伴うコスト増減管理も厳しい状況になり、結果、施工者に「我慢」を押し付けて終わるプロジェクトになってしまいます。
ゆえに、適正な予定価格の下で、施工者が透明性の高い競争入札に安心して参画できるような環境を構築するのが我々CMr(発注者支援)の役割であり、その後の健全なコスト管理につながると考えます。

企画段階時の予定価格の設定における課題

品確法の改正では「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」が示されおり、その中で「工事の性格等に応じた入札契約方式の選択・活用」について記されています。

これにより、公共工事でもプロジェクトの状況に応じてDB方式の採用が可能になり、設計段階から施工者の技術力(特許工法など含む)や労務を含めた資機材調達能力を取り入れることが可能になりました。

このDB方式には様々な長所・短所が取り上げられますが、長所の一つとして、透明性・公平性の高い競争入札の実現と契約締結を前提に、設計段階から契約金額(総額)を厳守するプロジェクト推進が可能であることがあげられます。
ただし、予定価格を設定してからDB方式の競争入札を行う場合の公共工事では課題があります。それは、「設計図面が無い企画段階時において予定価格の設定はどうするのか」という点です。

この課題への対応策の一つとして、民間での工事費を含めた事業予算の算出方法(民間ノウハウ)があげられます。当然ですが、民間企業がDB方式を採用した場合でも、企画段階時で工事費を含む事業費を算出し、事業収支を企画して、経営者に投資の判断を仰ぎます。この際、事業費の大半を占める工事費の設定(概算)は重要であり、コストとプライスの双方を見極めた判断が必要になります。ただ精度の高い概算を算出する手法は、各CM会社や設計事務所が各々持っている高度な技術力の一つであり、簡単にそのノウハウ(算出手法)を開示する訳にはいかない現状があると思います。

[表1]事業費一覧表イメージ



よって、市民の方への説明責任を負う公共工事では、この民間企業のノウハウを「活かす制度」と「安易に開示しない制度」の両立が望まれており、今後DB方式を採用する際の課題の一つと考えられます。

予定価格の設定時に必要な考慮すべき項目

企画段階の予定価格(超概算)を精度高く算出するためには、明確な工事区分を基にして、建物単体の躯体(杭など含む)や内外装のグレード、設備関連の設定仕様やグレードなど、工種や部位毎の細かな項目が必要です。その他特に考慮すべき項目は、

(1)計画地の広さや周辺環境、地盤状況などプロジェクトごとの制約を反映した工事施工計画案
(2)(1)を加味した適正なスケジュール案

です。

(1)と(2)の計画案の作成にあたっては、特定企業への情報の偏りを防ぎ、透明・公平な競争環境を構築するために、発注者側内部のみで予定価格の算出に反映していくことが大切であり、その主担当がCMrになります。

さらに考慮すべき項目として、ここ数年建設業界全体の課題である労働者不足や働き方改革(改善)によるスケジュールへの影響も無視できません。設計事務所では打合せ前夜に徹夜で図面を作成するという働き方は難しくなります。
また、工事現場では4週6休から4週6閉所を実践し、今後は4週8休や4週8閉所への取り組みが行われてきますので、スケジュールのみならずコストや経費などへの影響が考えられます。

この様に建物単体の工事費だけでなく、想定の工事施工計画案、適正なスケジュール案、そして建設市況や世間の動向も考慮しながら予定価格の設定を行う技術力が発注者側に求められます。

[図3]施工計画イメージ



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