白河オリンパス 白河事業場本館棟(前編) 白河オリンパス 白河事業場本館棟(前編)

PROJECT 08

白河オリンパス
白河事業場本館棟

医療機器トップメーカー生産拠点の、大規模再開発

PROJECT 08

医療機器トップメーカー生産拠点の、大規模再開発

事業拠点を再構築し、生産プロセスを効率化する

テーマは”One Shirakawa”。
本館棟を中心に製造部門、購買部門、
国内修理部門をひとつにし、
製造プロセスを効率化する戦略でした。
(木村)

本日は福島県西郷村のオリンパス白河事業場の中核となる、本館棟の建設プロジェクトに関わられた3人にお越しいただき、山下PMCの担当者とともにプロジェクトを振り返っていただきます。なぜ白河事業場を再開発されることになったのでしょうか。プロジェクトの経緯と、その目的や想いを教えてください。


木村:
白河事業場は、オリンパスの医療用内視鏡を扱う部門の拠点です。医療機器は、技術と人の能力をあわせたすり合わせ技術で成り立っている製品です。その製造プロセスは本質的な勤勉さや学ぶ意欲を持ち、身につけた技術を高め、実現していく能力が高い日本人に適しているので、医療機器のアセンブリは国内でやろうという意思決定がなされました。他に会津、青森に工場がありますが、基幹部分の生産拠点で交通の便もよい白河に集中投資し、再開発することになりました。
八木沢:
再開発の話自体は5年ほど前からありました。しかし東日本大震災を受けて、一旦仕切り直しがなされました。
木村:
東日本大震災では、白河事業場と、当時近くの別拠点にあった購買部門が被害を受けました。購買部門の動きが止まると、部品供給ができずに他の拠点の動きも止まってしまいます。そこで再開発後には、購買部門も耐震性能とBCPを備えた環境を整備することが重要でした。そして購買部門と製造部門を一体化するという、大きな目的がありました。
再開発のテーマは“One Shirakawa”。One Olympusというオリンパスの中期ビジョンと対応する言葉です。本館棟を中心に白河オリンパスの製造部門、購買部門、そして元々同敷地内にあった国内修理部門をひとつにし、納入された部品を停滞なく製造ラインに入れられるようにし、製造プロセスを効率化する戦略でした。
また福島県は、東日本大震災の被害を受け復興途上にあります。建物という目に見える形で復興支援をすることは、オリンパスの姿勢をアピールでき、地元採用にも寄与し、地域貢献にもつながります。事業継続と地域貢献、社会貢献を日本から行っていくという意思表示が、経営層の判断にはあったと思います。

本館棟外観。白河事業場は新幹線の駅と高速道路のインターチェンジに近く、交通の便がよい
本館棟外観。白河事業場は新幹線の駅と高速道路のインターチェンジに近く、交通の便がよい

5階食堂の大きな窓からは、高速道路が見える
5階食堂の大きな窓からは、高速道路が見える

CMという職能は、まさに建設のプロフェッショナル。
よいパートナーだと感じました。(安瀬)

御社では初のCM(※1 コンストラクション・マネジメント)導入だったそうですが、なぜ採用されることになったのでしょうか。

木村:
私が白河オリンパスの代表取締役社長に就任した2014年4月の段階では、すでに御社が参画していました。そのときに感じたのは、我々顧客がこのような、大きくて複雑な機能や目的を持つ建物に対する設計要件、つまり製造業の世界で「ユーザリクワイヤメント(※2)」といわれるものを具体的に、適切に出すのは難しいということです。我々の抽象的なニーズを具現化するために、CMという役割は必要不可欠な存在なのではないかと思いました。

※1 CM(コンストラクション・マネジメント):発注者が、設計者や施工者とは独立した第三者性を持つマネジメントの専門職CMr(コンストラクション・マネジャー)とともに建設プロジェクト推進する方法。
※2 ユーザリクワイヤメント:ユーザニーズを製品の設計要件として落とし込んだ文書

高低差のある敷地。都市計画上の開発行為にあたる土地の大規模な土木工事を伴うプロジェクトだった
高低差のある敷地。都市計画上の開発行為にあたる土地の大規模な土木工事を伴うプロジェクトだった

八木沢:
私はCM導入の意思決定には関与していませんが、プロジェクトには立ち上げから関わっています。わかる範囲で申しますと、おそらく大規模な開発行為を伴う、経験のない規模の開発をする必要があったということが、CM導入の大きな理由となったのではないかと思います。開発許可の申請を受けるために1年以上かかると言われており、少しでも工期短縮をすべく、採用を決めたと聞いております。

白河オリンパス株式会社 安瀬 勉様

安瀬:
私は2013年4月に現在の職場に来てからこちらのプロジェクトに入り、社全体の事務局として統括的に関わってきました。ちょうどCMコンペを行おうというタイミングで、それまでCMという職能のことは知らなかったのですが、まさに建設のプロフェッショナルで、よいパートナーだと感じました。
三河:
CM選定のためのプロポーザルは、土木工事に対する提案と、建物に対する独自の業務とが求められるものでした。まずは開発をしっかり推進しつつ、建築工事にCMとしてどんな役割を果たせるか、問いかけをいただきました。御社のパートナーとして選定いただきたい一心で提案書を作り上げたことを思い出します。
重冨:
CMに選定いただいてから発注図書をまとめるまでに与えられた時間は、わずか2ヶ月未満でした。当初は不安でしたが、8回の定例会議と分科会を通じて高密度なキャッチボールができました。そこでありがたかったのは、オリンパス様に課題を迅速に解決いただいたことです。次の会議までには、投げかけた課題に対する回答がすべてそろっていたので、スムーズに発注図書をまとめることができました。
木村:
製造業と異なるのは、建築は1回勝負ということです。建ててからやり直すということができません。それだけに、建築でユーザリクワイヤメントを明確に定義するには、設計・施工者とのインターフェースをマネジメントする御社のようなビジネスが重要なのだと感じました。我々の抽象的なニーズを、設計・施工者の方々に具体的な要件として伝え、さらにPDCAサイクルがまわるようにパラメータを設定して管理いただいていたからこそ、上手くいったのでしょう。

山下PMC 三河

三河:
ありがとうございます。建設プロジェクトはニーズをいかに形にしていくのかということが重要で、ものづくりのプロセスとは近いと感じています。定例会議でみなさんから情報や条件を的確にいただいたおかげで、施設にどう展開し、どう実現させるかを戦略化し、手戻りなく条件化できたのだと思います。
木村:
御社のパンフレットには、顧客ニーズを受けて設計や施工に展開するだけではなく、そのニーズが確実に反映できているのかという検証プロセスまで持たれていると書いてありましたが、それは我々の製品開発におけるプロセスバリデーション(※3)の思考や手順と全く同じです。

※3 プロセスバリデーション:製造プロセスが目標とする品質を達成できるかどうかを確認、保証すること

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