ファンケル美健 千葉工場 マイルドクレンジングオイル 専用生産棟
施設づくりを通じた事業づくりのお手伝い
「FANCL」ブランドの無添加化粧品・栄養補助食品等の製造を担う株式会社ファンケル美健では、化粧品業界では珍しい単一製品に特化した専用工場を建設。生産工程の全自動化、大量生産、製品品質の安定化を実現し、同社の掲げるスタンスメッセージ「正直品質」の発信拠点ともなる施設だ。ブランドを体現する「魅せる工場」の誕生には、経営とものづくりの現場を結ぶCMの存在があった。
施設紹介:ファンケル美健 千葉工場 マイルドクレンジングオイル 専用生産棟
累計販売実績総数1 億本を突破した大人気商品「マイルドクレンジングオイル」のさらなる生産強化を目的に専用工場の建設を決定。従来は3工場に分散していた生産ラインを集約。増産余力分まで含めると、従来比2 倍、年間最大2,400万本の生産が可能。ラインの全自動化により、1日で計35人の従業員が必要だったところ、専用工場では8 人での運営が可能になった。さらに、施設全体の高機能化で、製品品質の安定性も強化された。
話し手のご紹介
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椎野達也さん
株式会社ファンケル美健 千葉工場 管理グループ 課長
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浦山真吾
山下PMC
事業創造推進本部 第一部 プロジェクトマネジャー
既存3工場がフル稼働で担っている生産量の2倍を目指す
ファンケル美健さんと、同じ着地点を捉えよう
化粧品工場の新設は20年ぶりだそうですね。
- 椎野
- 居抜き物件はありますが、新築物件は20年ぶりです。千葉工場・5号館の設計・施工も担当した大成建設さんという信頼のおけるパートナーはいましたが、工場をゼロからつくった経験やノウハウを持つ者は社内にはいない。
プロジェクトのリーダーとして任命された私自身、生産現場のプロとして必要な設備や生産能力はわかっていても、完成までの具体的なイメージができませんでした。
いつまでに、何をどう詰めるか? 私たちだけでは足りないノウハウをカバーしてもらうために、山下PMCさんに依頼しました。 - 浦山
- どのような工場にするのか、ファンケル美健さんと協議を開始した2018年の8月からCMとして私も参加しました。竣工予定は2020年3月。竣工後、すぐにでも操業を開始したいという希望をお持ちでした。限られた時間に加え、目標の高さに正直、驚きました。既存の3工場がフル稼働で担っている生産量の2倍の生産を可能にする工場をどう実現するか? まずはファンケル美健さんと、同じ着地点を捉えようと考えました。
- 椎野
- 工場の新設だけでなく、事業としても新たなチャレンジでした。化粧品工場は、一般的に多品種少量生産です。季節性や消費者動向に応じて、効率良く生産することが強みでもあるのです。一方、新工場は1商品専用で、効率的・大量生産の未知の機能が求められました。加えて、「FANCL」ブランドを支える、無添加化粧品ゆえの安心安全を実現する高度な品質管理も維持しなければなりません。
- 浦山
- 化粧品ではありますが、ある面では医薬品と同等レベルの機能が求められます。かといって、医薬品工場を目指せばオーバースペックになってしまう。ファンケル美健さんの希望とゼネコンさんの提案を伺い、足し算と引き算を行いました。その上で、運用・メンテナンス・修繕等の長期的な視点で、トータルな目配りに努めるのが私たちの役割です。もちろん「FANCL」ブランドの体現もこの施設ならではの課題でした。
- 「医薬品レベルの製造環境」を誇る千葉工場。
ブランドを体現する魅せる工場
- 椎野
- 化粧品工場では珍しく、ファンケルグループでは“魅せる工場”として、千葉工場を含む一部の工場で見学者コースを用意しています。ユーザーに生産ラインをご覧いただき、肌に直接使う化粧品への安心安全を体感していただく。工場自体が「正直品質」をスタンスメッセージとして掲げる「FANCL」のブランドを体現する存在だと考えています。
新工場では、限られた敷地で、原料の搬入から製造・梱包まで全自動化を実現する生産ラインの動線確保が必要でした。そこに見学者コースも加えるにはどうすればいいのか。山下PMCさんは、広報機能を持つ施設として、外観でのブランドイメージの表現も含め、一緒に考えてもらいました。 - 浦山
- 工場は「FANCL」ブランドという大きなストーリーの発信拠点です。同時に、生産性向上、品質の安定など、事業運営の緻密なプランを実践する場でもあります。双方を両立し、竣工・生産開始までの道筋を描くことが、カギとなりました。
- 無添加化粧品が実際に製造される工程を見学できる。ユーザーだけではなく、地元の小学校の社会科見学コースとしても人気。 ※ 2021 年夏現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、見学ツアーは当面の間、休止中。一部オンラインによる見学を開催。詳細はファンケルグループホームページにて告知予定。
関連する用途
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R&D/生産施設
市場の構図やニーズがめまぐるしい変貌を続けるなか、経営戦略のイノベーションとともに研究開発のあり方を見直す企業が増えています。従来の研究開発施設は、研究開発部門主体で計画・整備・運営されてきましたが、近年の研究開発は、企画段階から運営段階まで、経営戦略を色濃く反映する方向へと転換し始めています。その際にカギを握るのは、経営と直結する「事業(研究開発)戦略」の立案です。経営戦略というトップダウンの判断と、研究開発運営というボトムアップの提案を統合した事業戦略を立ち上げ、それに基づく研究開発施設の構築が求められています。
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