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横浜市役所新庁舎 基本設計からDB方式を初めて採用した公共施設が完成

2020年1月に竣工した横浜市役所新庁舎は、地上32階地下2階の超高層ビルです。その建設は、大規模かつ高度な技術を必要とする上、工期も短い難事業でした。そこで、課題解決策として、公共施設ではまだ先例の少なかったDB方式が採用されました。山下PMCは、民間で培ったノウハウと行政のルールとの調和を図りながら、DB方式のメリットを引き出し、プロジェクトを成功に導くための新たな制度設計の確立にも貢献しました。

横浜市役所新庁舎
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施設紹介:横浜市役所新庁舎

2020年1月に竣工した地上32階地下2階の超高層ビルは、横浜市の新しいシンボル。低層部は十分な天井高を確保した開放的な空間。多様な活動、にぎわいを創出するアトリウムや市民利用施設、商業施設を配置し、「市民に開かれた市庁舎」が実現。3~8階の中層部に3層吹き抜けの議場を含む議会機能、その上の高層部に行政機能を配置。

話し手のご紹介

  • 鈴木和宏さん

    横浜市建築局 公共建築部長

  • 菅野和広さん

    横浜市新市庁舎整備担当課長

  • 木下雅幸

    山下PMC
    取締役 専務執行役員 CIO
    事業創造推進第一本部長

  • 鴨下 清

    山下PMC
    事業創造推進本部 第一部 部長

公共施設で初めてDB方式を採用

Ⓒkagurasyuppankikaku
ランドマーク展望台から新庁舎を望む。写真左奥が北仲通北・新港ゾーン、右奥が関内ゾーン、右手前が桜木町・野毛ゾーン、手前がみなとみらい21ゾーン。新庁舎は、横浜を代表する各エリア間を結ぶ「まちのノード」(結節点)となることが期待されている。

手間をかけた分、大きな成果を実感できました

公共施設では前例のなかったDB方式を採用されたのはなぜですか。

鈴木
旧庁舎の老朽化、執務室の分散等の課題を背景に、2014年に新庁舎の整備基本計画が決まりました。横浜市も競技開催地として参加する東京五輪では、旧庁舎を拠点施設とする予定だったため、2020年6月末までに新庁舎の開庁が必要でした。
菅野
短期間での設計・施工になることが想定され、さらに建設市況も不安要素でした。建設費の高騰や、人員や資材の調達も難しくなるのではないか? 従来の公共工事と同様に、設計を依頼し図面をつくり、施工の入札を行い、工事を進めていては、さらなる状況変化に対応できないのではないだろうか?
また、これまでは当たり前だった設計変更による追加予算の発生も回避したいと考えていました。そうした多くの懸念を払拭するには、民間事業で実績のあるDB方式の採用が最適だと判断したのです。
鈴木
しかし、超高層ビルの建設やDB方式そのものが、私たちには未経験であり、スタート段階から立ちはだかった大きな課題でした。ちょうど、2014年に品確法が改正され、公共事業におけるCMの活用に私たちも注目。CMの役割について調べ、私たちの抱える大きな課題を乗り越えるには欠かせない存在だと判断し、山下PMCさんとの協業がスタートしました。

山下PMCでは、民間施設建築ではDB方式の実績が多数あるそうですが、初の公共施設建築に取り入れる上で、想定した課題はありますか。

木下
もちろん、これまでの公共施設建築での経験から、行政独自のルールがあることは知っていました。公共の場合は、より「公平性・透明性」の視点が重要になります。
鴨下
民間のノウハウで押し通してもスムーズにはいかないので、まずは横浜市さんにルールを教えていただくことからスタートしました。
木下
ルールをしっかり理解しつつも、その「公共の厳しさ」に引っぱられ過ぎても民間のよさは活かせません。常に民間の発想に足場を寄せつつ、公共のルールとのバランスを保つ。そこを両者で理解し、共有することが最初に苦労した点だったと思います。

実際にやってみて、どこに、従来の方式との大きな違いを感じましたか。

菅野
図面ではなく、文書をベースに入札を行ったことです。 これまでは、条件設定(仕様書)に対応してつくられた図面をもとに入札を行っていましたが、今回は「発注仕様書」(文書)をベースにしました。
これまでやっていたような、図面を使った建物のイメージの共有はできません。 さらに、設計者=施工者となるDB方式では、入札時に設計者選定と同時に工事金額も決定することになります。 そのため「発注仕様書」は1年かけて、慎重に作成しました。
鴨下
DB方式を採用する場合、「性能発注方式」が前提となります。行政は仕様による発注が基本ですので、横浜市さんには、性能発注方式のメリット・デメリットを詳しくお伝えしました。 「発注仕様書の役割については、「『こういう建物をつくってください』ということを図面ではなく言葉で示すものです」と説明しました。
そこには、横浜市さんが「これまでやってきたこと」と「これからやりたいこと」のすべてが文書化されていて、その一言一句の意味を設計・施工に関わる全員が読んで理解できるものを構築することが、DB方式の要であるということをご理解いただきました。
木下
その文章の一つひとつが、横浜市さんと参画会社との新たなルールとなります。建築部門だけでなく、市役所のあらゆる部門へのヒアリングをお願いしました。議会はどう使うのか、各窓口はどのような業務を行うのか。私たちは毎週、会議で必要な確認項目を整理し、横浜市さんには各部門から答申を集めていただくことで、膨大な確認作業を積み重ねた結果として「発注仕様書」は完成しました。
菅野
まさに「ルールブック」であり「バイブル」となりました。入札の準備には多くの手間暇がかかりましたが、それだけの成果を得たと実感しています。
  • 「これまでやってきたこと」と「これからやりたいこと」のすべてが文章で表現された「発注仕様書」。
  • 右手前の白い中層部には議会機能を集約。5階から8階に委員会室の他、高層部から独立した本会議場が配置されている。

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