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石巻市水産物地方卸売市場

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アットリスクCM方式で迅速に魚市場を再建

東日本大震災により壊滅的な被害を受けた宮城県・石巻魚市場。本日はその再建プロジェクトにおいて大きな役割を果たされたお二人に、山下PMCの担当者とともにプロジェクトを振り返っていただきます。

石巻市水産物地方卸売市場

話し手のご紹介

  • 大村 浩之

    大村 浩之

    漁港漁場漁村総合研究所
    第1調査研究部 次長
    ■本プロジェクトでの役割
    ピュアCMのプロジェクトマネジャー

  • 岡野 春彦

    岡野 春彦

    鹿島建設 東北支店
    女川町地方卸売市場建設工事事務所 所長
    ■本プロジェクトでの役割
    アットリスクCMのプロジェクトマネジャー

  • 村田 達志

    村田 達志

    山下ピー・エム・コンサルタンツ
    事業創造推進本部
    第一部 部長
    ■本プロジェクトでの役割
    統括プロジェクトマネジャー

  • 品川 哲也

    品川 哲也

    山下ピー・エム・コンサルタンツ
    事業管理運営本部 QCDS部
    プロジェクトマネジャー
    ■本プロジェクトでの役割
    プロジェクトマネジャー

発注者支援と施工マネジメント、2種のCMで復興を支援

「一刻も早く再建したい、それにはCMを活用するしかない」というのが、石巻市や漁業関係者の総意でした(大村)

まず、プロジェクトに関わられるようになった経緯からお話しください。

大村
私たち漁港漁場漁村総合研究所(以下、漁村総研)は、水産庁の外郭団体で、漁港・漁村を整備するための調査研究を行う目的で財団法人として設立されました。私は建築設計分野を専門にしており、老朽化した地方卸売市場の近代化、衛生管理の高度化に取り組んできました。

全国には「特定第三種漁港」という、国が方針を決める大きな漁港が13港あります。東日本大震災では、そのうち私が担当する塩釜港、石巻港、気仙沼港が津波で全壊しました。復興にあたり一人で3港全部は手が回らないので、年間水揚げ量約13万トンを誇る重要産地市場である石巻を私が見ることになり、震災の爪跡がまだ残る2011年7月に現地に来ました。

被災後の石巻市は、技術者も不足しており、行政処理能力が限界に達していました。そこで私がいわば映画監督の立場で、シナリオを書きながらプロジェクトをまとめていくことになりました。

魚市場の再生にあたり、石巻市、石巻魚市場、水産加工業界、漁業者の方たちにヒアリングして意向をまとめ、新魚市場には「高度衛生管理」体制を導入すること、また海外にも通用する市場機能を持たせることなど、方向性を策定して基本計画に落とし込んでいきました。

大村さんは、なぜ山下PMCに相談されたのでしょうか?

大村
被災地でUR都市機構がCM方式を活用した復興市街地整備事業に着手していると聞き、契約の枠組みなどの情報収集をするうちに、CMr(コンストラクション・マネジャー)として復興支援をしていた山下PMCの名前を耳にしました。

また、日本コンストラクション・マネジメント協会が開いたCMの事業説明会で、石巻市役所の担当者が山下PMCの川原秀仁社長の説明を聞いていたことも大きいと思います。石巻市も漁業関係者も「早く市場を再建するならCMだ」ということでものすごく盛り上がりをみせていました。

うちだけで監督支援業務をやるには、とても手が回らない状況でしたので、市に山下PMCへの再委託を承認してもらい、両者でピュアCMを分担することになったのです。

石巻魚市場の再建では、事業推進手法として国内の公共建築では初の「アットリスクCM方式」が採用されたそうですが、これはどのような方式ですか。

村田
一般的なCM方式では、CMrは技術的な中立性を保ちつつ、発注者の利益確保の立場から設計の検討や工事発注方式の検討などさまざまな支援業務を行います。これは「ピュアCM方式」とも呼ばれます。

一方「アットリスクCM方式」では、CMrは主に工事の責任を負い、施工をマネジメントする役割を担っています。

今回のプロジェクトでは、漁村総研さんが「ピュアCMr」として、発注者である石巻市に代わり基本計画と基本設計、監督支援業務を行い、山下PMCもそれをお手伝いするという形で参画させて頂きました。これによって市の業務を軽減するとともに、スピーディーにプロジェクトを進行させるねらいです。

そして公募で決まった鹿島建設さんに「アットリスクCMr」を担っていただき、実施設計や調査、施工のマネジメントを一括で委託して事業を進めました(図参照)。鹿島さんの技術力を設計段階から投入して設計・施工を一体的に検討することで、工期の短縮化に寄与できると考えたからです。
  • プロジェクトの全体スキーム

国内の公共建築初の「アットリスクCM方式」で市場再建すると聞き、CMr資格も取得して万全の態勢で公募に臨みました(岡野)

岡野さんは、このプロジェクトに参加するためにCMrの資格を取得されたのだとか。

岡野
私は鹿島建設でずっと建築の現場を担当してきたのですが、東日本大震災のときは、たまたま山形で営業活動をしていました。当社の東北支店も被災したため、山形営業所が被災地支援の中継拠点となり、情報収集や物資輸送などを行っていました。

その過程で、震災復興の仕事をぜひしたいと思うようになった矢先、「石巻に行け」と命が下りました。ちょうど2011年5月の連休前のことです。石巻では、甚大な被害を受けていた日本製紙工場の復旧工事に携わりながら、石巻赤十字病院や石巻専修大学など、当社のお客様への対応をする日々でした。

そんなおり、石巻魚市場の再建事業が、CM方式によりスタートするという話が社内から伝わってきたのです。これは公募前から準備を進めておかないといけないと思い、CMのガイドブックを読んで勉強しながら、応募する技術提案書をつくっていきました。認定CMrの資格試験があると知り、それにも挑戦した結果、なんとか資格を取った上で現場入りすることができました。
  • 石巻市水産物地方卸売市場の外観。延床面積約5万㎡、地上4階、施設長876mの世界最大規模の水産物卸売市場だ。
  • 早朝に続々と漁船が接岸してくる。
  • 岸壁と荷捌き所の一体的な整備や各エリアの最適なゾーニングにより、効率的かつ衛生的な陸揚げ・荷捌き体制を構築している。
  • 車両・人・水産物の動線を明確に区分し、選別・陳列・立替等作業エリアの区画化によって車・人から水産物への汚染防止を図っている。

プロジェクトに関わったマネジャー

関連する用途

  • 公共

    2014年6月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が改正され、公共工事においても多様な発注方式の採用が認められたことで、DB(デザインビルド・設計施工一括発注)方式、ECI(施工者が早期に関与)方式などが普及しつつあります。一方で、自治体の技術職員が減少する中で、2020年9月には「地方公共団体におけるピュア型CM方式ガイドライン」が発行され、複雑化・高度化する事業をCM活用により着実に推進する手法が広がりをみせています。また、多くの自治体では高度成長期に建設された施設の老朽化が進み、PRE戦略や公共施設マネジメントの立案・実施も課題となっています。

  • 商業施設

    消費嗜好の多様化が加速するなかで、商業施設にはこれまで以上にコンセプトの斬新さや、他施設との差別化が求められています。Eコマースの成長が著しいこの時代には、実店舗ならではのコンセプトメイクも重要です。従来通りの店舗計画が必ずしも最適といえず、商空間はそのあり方自体が常に問い直されているともいえます。適切なマーケット分析・敷地分析をベースに、違いを生み出す施設コンセプトを立案し、適切なMDへと展開していくことの重要性は今後ますます高まっていくでしょう。

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