PROJECT 04

東京水産振興会 
豊海センタービル(アフターストーリー)

アフターストーリー

オーナー、テナント両者の納得を引き出す

施設への入居が、業界内評価の向上につながった


井上:
CMという役割に入っていただくことで不明な部分を補うことができ、プロジェクトを安心して進めることができました。特に我々でも検討しやすいよう、専門的なことをわかりやすい言葉に翻訳してくれるので、助かりました。テナントとゼネコンとのやりとりを第三者の立場から見ていても、しっかりやってくれていると感じました。
渥美:
やはり安心感がありました。初めてビルをつくる我々にとって、コンサルタントとして施主の立場について下さる山下PMCさんの役割は、非常に大きかったと思います。これからの時代、ますます需要が高まる役割なのではないでしょうか。
髙橋:
当初は組織内で、CM業務を依頼することにどれほどの費用対効果があるのかと心配する声もあったのですが、採用したおかげで検査機関として我々の実績からすると身の丈以上の施設ができ、業界内での評価も向上しました。特にゼネコンとのやりとりの際に要所でアドバイスをいただけたことは、本当に助かりました。
塩見:
こちらに移ってから見学者も増え、職員の表情も変わったと言われます。施設づくりは大きなトラブルもなくスムーズに進められました。私どもは「オーナーさんが私どもの意見をずいぶん飲んで下さった」と感じていますが、きっとそのように感じられる動きを山下PMCさんがしてくださった、ということが大きく、検査員にも機器にも優しい施設になりました。



取材を振り返って

豊海センタービルは、都心の片隅に残された漁港区という特異な立地条件から生まれた施設だ。本プロジェクトに使われたプロセスをそのまま当てはめられる建物は、二度とあらわれないかもしれない。だが延床面積1万㎡弱という、けして大規模ではないオフィスビルの中には、資産区分の明確化、複雑な設備系統の整理、並行して走る複数の工程を破綻なく進めるスケジューリング、そして異なる立場間での合意形成といった、他の施設に還元できる手法が高密度に盛り込まれている。山下PMCのマネジメントサンプルケースのような建物のようにも見える。
そして今回の座談会で印象的だったのは、責任区分の重要性に関する指摘だ。近年のシェアの概念の普及で、ごく短期間、ごく一部の空間を貸し出すというような、イレギュラーな共有の形が増えるだろう。複雑化する責任区分をいかに整理するか、という問題はかなり現代的で、将来的にも、さまざまな場所、さまざまなフェイズにおいて重要性が増しつつある話題なのではないだろうか。

平塚 桂(取材:2014年11月10日)

TEXT:平塚 桂
PHOTO:久瀬 修一