PROJECT 04

東京水産振興会 
豊海センタービル(中編)

プロジェクト座談〈中編〉

オーナー、テナント両者の納得を引き出す

[2010年1月~2010年4月]

テナントが、CMを必要とした理由

東京水産振興会さんがコンサルタントをつけると聞き、
私どももそうした役割の方に入ってもらう必要があるのではないか
と感じたのです (髙橋)

ここからはテナントとして豊海センタービルの4階から6階に入居する、東京顕微鏡院の髙橋さんと塩見さんにも加わっていただき、本プロジェクト立ち上げの経緯や、CMを必要とした経緯をお話いただきたいと思います。なぜ、このプロジェクトに参加されることになったのでしょうか。

塩見:
以前の研究所は倉庫施設にテナントとして入居し、あまり環境がよいとはいえない場所にありました。天井懐に余裕がなく、ダクトの増設や設備の交換などがしにくいといった問題が顕在化していたほか、使い勝手や快適性にも課題を抱えていて、当研究所は女性スタッフも多いので、もっと働きやすい環境を用意すべきではないかと考えていました。
髙橋:
私どもが新しい研究所の拠点を探していることが東京水産振興会の方に伝わったようで、こちらのビルへの入居を前提としたお話をご紹介いただきました。

CMの必要性を感じられたのはなぜでしょうか。

髙橋:
豊海センタービルの入居前の前に別の施設をつくる機会があったのですが、図面などを見てもわからないことが多く、不安でした。私どもは建築に関しては素人ですから、何を判断の根拠にすればよいのかがわかりません。それで東京水産振興会さんがコンサルタントをつけられると聞いて、私どももそうした役割の方に入ってもらう必要があるのではないかと感じたんです。
井上:
最初に山下PMCさんにCM業務を依頼したのは私どものほうですが、あるとき東京顕微鏡院さんのCM業務も実施されると聞いて、びっくりしたんですよ。
塩見:
私どもの研究所は一般的なオフィスビルに入居するような、通常のテナントではありません。今回はさまざまな検査機器や、作業環境確保のため、天井高を確保していただいた結果、階高が変わってしまいましたし、特殊ガスの搬送系や実験用の局所排気系や特殊排水処理設備など通常のオフィスビルには入らないような設備を設置させていただきました。テナントの立場で確実に、設備系統の設置を実現するためには、技術的な提案と、それに対するコストの妥当性を、裏付けを持って評価してもらう役割が必要ではないかと考えたのです。

東京顕微鏡院の微生物学的試験検査室。
東京顕微鏡院の微生物学的試験検査室。

東京顕微鏡院の理化学的試験検査室。天井のダクトで吸排気している。東京顕微鏡院の理化学的試験検査室。
天井のダクトで吸排気している。

各フロアで天井高を確保するための階高を変えていただいたり、
特殊ガスの配管設備、実験用の局所排気系や特殊排水処理設備
などを持ち込ませていただいたり、自社ビルでもないのに、
そこまでしていただけることはなかなかありません。(塩見)

検査施設の複雑な仕様を、オフィスビルのテナントという枠組みの中で実現するために、どんなやりとりがあったのでしょうか。

木下:
建物の貸主と借り手というものは通常は利益相反する立場にありますので、両者のCM業務を一社が担当するというのは、かなり珍しいケースでした。たとえば東京顕微鏡院さんは検査研究所なのでゆったりとした天井懐が必要ですが、オーナーサイドは将来的に一般的なオフィスとして貸し出すことを考えると低い階高で、天井懐を小さくして天井高を稼ぎたいわけです。
塩見:
そうですね。今回、オーナーの東京水産振興会さんには、さまざまなことを譲歩していただきました。各フロアで天井高を確保するための階高を変えていただいたり、特殊ガスの配管設備、実験用の局所排気系や特殊排水処理設備ど、通常のビルには入らないものを持ち込ませていただいたりしました。自社ビルでもないのに、そこまでしていただけることはなかなかありません。
髙橋:
特殊なプロジェクトですが、山下PMCさんに間に入っていただいたおかげで、スムーズに進みました。本当にありがたく思っています。
木下:
仕様が決まって、ゼネコンを選定する過程で、東京水産振興会さんより階構成を入れ替えたいというお話がありました。オーナーである東京水産振興会さんが3階から最上階の7階に移り、東京顕微鏡院さんを5~7階から4~6階へと移すというものです。東京顕微鏡院さんは設備系統が複雑なので最上階に配置されている方が計画しやすいのですが、それが下に降りるというのは計画やコスト面の影響が大きく、計画の見直しのお話をいただいた時には緊張が走りました。
井上:
この話は、どのタイミングで打ち明けるかというのが大事でした。ゼネコンの決定後に話をしたら揉めるはずですし、工期にも響くでしょう。だから入札前の、ゼネコン各社が横一線に並んでいるタイミングで提案しました。それならば条件を飲み込んだ上で入札をしてくれるだろうと。
木下:
ギリギリのタイミングでした。私どもは設備系統の条件はあらかじめ整理しておくことが非常に重要と考え、階高やダクトの経路などは企画の早い段階で決定し、発注図書に盛り込んでおきました。そのしっかりしたベースがあったので、ゼネコン各社への図面交付後にもかかわらずこの大きな変更も何とか乗り切ることができました。