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女川町地方卸売市場(後編)

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発注・設計・施工者が一つのチームに

―今回のプロジェクトはどんなチームでしたか。

加藤
最高のチームでした。様々なタイミングもよかった。プロジェクト全体を見ていた佐藤さんが、途中で県に戻ることになってしまいましたが、会議の進行役も含め、品川さんがうまく引き継いでくれました。
佐藤
私はプロジェクトの 〝総合司会〞ともいうべき立ち位置でした。でも、品川さんが早期からCMとして参画し、町、県、市場、設計、施工など、それぞれの意見と考え方を理解していた。だから私が県庁に戻っても、プロジェクトは成功させられると信じていました。町役場の担当者も本当によく勉強していますが、やはり専門用語等が多く、知識も必要です。ですから業者間の調整などは、建築のプロでないと進めにくいものです。
加藤
工事を進めていくなかでも、様々な問題が出てきます。中立的立場でそれぞれの意見をまとめないと円滑な進行は難しい。
品川
プロジェクトの初期から毎週、東京から女川町の会議に参加し、皆さんと直に顔を合わせて話し合っていたことが大きかったですね。今は遠方からでもテレビ会議などができますが、やはり人と人とが直接会って顔を合わせることが大切です。施設は人が使い、発展させていくというアナログなものですから、様々な意思決定の場に、皆が参加するほうが、手戻りがないのだと強く感じました。
岡野
確かに現場に来れば、市場で働く人、工事の現場で働く人の姿を実際に見られます。
品川
それがいろいろなところで改善のヒントをもたらしてくれました。岡野さんにも、細部にわたり相談に乗っていただきました。
村田
建設の現場で一番の課題を挙げるとしたら……。
岡野
やはり工期の順守です。最初に作った管理棟も「これがなければ成功はない」と思っていたから、かなりタイトなスケジュールを組んで、作業員を総動員して工事を進めました。
岡野
そのような厳しい状況でも、無事故無災害を達成されました。
岡野
着工から竣工までの約2年間、細心かつ綿密な安全管理、そして現場の安全意識向上のための取り組みを継続しました。厚生労働省労働基準局長より全工期無災害の表彰もいただきました。
  • 船のデッキをイメージしたランプ。見学者を楽しませるための配慮が施されている。
  • 駅、役場、市場など町の中心部を「面」的に考える「復興まちづくり」の主要施設。女川駅から徒歩15分。

―女川魚市場は市場としての高い機能をもっていると同時に、観光目的で訪れる人も増えていると聞きました。

加藤
魚市場をたくさんの人に見学してもらうための通路を作りました。一般の方が見学できる市場は他にもありますが、見学エリアから荷さばき場と海の両方を見ることができる、そんな市場にしたいと思っていました。
岡野
市場というのは単に、魚を水揚げして選別の作業をする場ではなく、日本の食文化や伝統の発信地です。ですから、一般の方が内部に入らずとも、荷さばき場のセリの様子を見られる施設にすることが大切だと感じました。見学者通路は幅4メートルと広くとりました。
加藤
消防法の関係などもあって、難しいといわれたのですが、車いすで来られる方や、お年寄りも、ゆったりとした気分で市場を見ていただきたかったのです。これは私の夢でもありました。
佐藤
開放的で居心地がいいです。通路の外側・内側両面がガラス張りになっているので、漁船が来て水揚げとセリの様子が同時に見学できる……このような魚市場は、全国的にも珍しい。
岡野
作っているときも非常にやりがいがありました。天井や床の仕上げも高品質です。
加藤
見学者の評判も上々です。平日でも、多くの団体が見学に訪れています。
佐藤
見学のあとは、管理棟の3階にある食堂で、新鮮な魚を使った料理を楽しむこともできます。
岡野
魚市場の皆様からの要望を取り入れ、管理棟は計画段階よりもグレードアップしました。休憩室や水産加工実習室などの部分も充実しています。コストについては、施設全体でバランスをとり、計画内でコントロールしました。また、太陽光発電を導入し維持管理費を抑えるような工夫を行いました。
加藤
運営に必要なコストも大事なポイントです。
佐藤
それでいて、工期は予定通りでした。
村田
問題があっても基本的な工期は厳守する、これは私どもの世界では当たり前のことです。
加藤
今回のプロジェクトは、建築のプロである山下PMCさんに、チームをまとめてもらえて本当によかったと思っています。
村田
ECI方式には決まったマニュアルがありません。だからこそ難しい。
しかし、今回は良好な協議体制で最後まで進めました。
加藤
いい施設を作りたいという皆様の思いが施設を通じて伝わるからこそ、多くの漁船が来て、市場としての高い競争力を維持できています。それだけでなく、見学者もリピートしてくれる。改めて〝人〞が大切なのだと感じたプロジェクトでした。

プロジェクト概要

プロジェクト名称 女川町地方卸売市場施設整備事業発注者支援業務
事業主(発注者) 女川町
所在地 宮城県牡鹿郡女川町宮ヶ崎字宮ヶ崎87
建物用途 卸売市場
面積 敷地面積 約36,000m2/建築面積 約9,200m2/延床面積 約12,400m2
規模/構造 地上4階/S造
基本計画・基本設計・
実施設計者
一般財団法人漁港漁場漁村総合研究所
実施設計技術協力・施工者 鹿島建設株式会社
CM業務期間 2014年12月~2016年4月
CM業務範囲 基本設計・実施設計・工事発注・工事段階
CM 山下PMC

■山下PMC担当者
三河一喜、村田達志、品川哲也、高橋朋絵

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プロジェクトに関わったマネジャー

関連する用途

  • 公共

    2014年6月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が改正され、公共工事においても多様な発注方式の採用が認められたことで、DB(デザインビルド・設計施工一括発注)方式、ECI(施工者が早期に関与)方式などが普及しつつあります。一方で、自治体の技術職員が減少する中で、2020年9月には「地方公共団体におけるピュア型CM方式ガイドライン」が発行され、複雑化・高度化する事業をCM活用により着実に推進する手法が広がりをみせています。また、多くの自治体では高度成長期に建設された施設の老朽化が進み、PRE戦略や公共施設マネジメントの立案・実施も課題となっています。

  • 商業施設

    消費嗜好の多様化が加速するなかで、商業施設にはこれまで以上にコンセプトの斬新さや、他施設との差別化が求められています。Eコマースの成長が著しいこの時代には、実店舗ならではのコンセプトメイクも重要です。従来通りの店舗計画が必ずしも最適といえず、商空間はそのあり方自体が常に問い直されているともいえます。適切なマーケット分析・敷地分析をベースに、違いを生み出す施設コンセプトを立案し、適切なMDへと展開していくことの重要性は今後ますます高まっていくでしょう。

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