建設市況レポート(21年9月)
今月の建設市況と今後の見通し
やはり建設業界の回復は…
「コロナ禍にもかかわらず、製造業は稼ぐ力が急回復しているが、一方で建設業は…」と、先月お伝えしました。残念なことに、やはり9/27の日経新聞の業界天気図の建設業界は「曇り時々晴れ」から「曇り」に転じてしまいました。
競争激化で採算悪化しており、かつ資機材の高騰も相まって先行きは明るくはない印象を受けます。
これに中国企業の恒大集団の経営危機のニュースも耳に入り、資機材だけでなく世界の経済動向への注視が必要ですね。
その中で、9/14の日経新聞に「大手ゼネコン受注高6%増」という記事がありましたが、これは競争環境と受注内容の変化によるもの、とされています。
以前は入札参加していなかった中小工事の受注に力をいれてきている結果であり、採算悪化が懸念される、とのことです。
せっかくコロナ対応が落ち着き、情勢が安定してきたにもかかわらず、一国が潰れてしまうほどの企業の破綻危機などが起こり、まさにグローバル経済に翻弄されている状況ですね。
さて、下記に先月のコスト状況(9月初旬発表)をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材は先月に引き続き、上昇傾向です。
RC系資材は一部上昇傾向ですが、概ね先月に引き続き、横ばいです。
建築費指数はS造、RC造とも先月に引き続き、上昇傾向です。
2.都市間格差の傾向
今回はRC造の集合住宅、病院、学校をピックアップしています。
福岡が特に上昇傾向にありますが、大きな変化は見られません。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
下降
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
現状維持
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
- ●セメント バラ 東京
RC造 集合住宅の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 病院の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 学校の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京