建設市況レポート(21年8月)
今月の建設市況と今後の見通し
製造業回復!でも建設業は?
コロナ感染者の増加傾向が全国的に広がっていますが、ワクチン接種も少しずつ広がっています。感染リスクが軽減していくと良いですね。
コロナ禍にもかかわらず、製造業の“稼ぐ力”は急回復中で、「3年ぶりの高水準」という記事が8/14の日経新聞に載っていました。
一方で、8/6の記事によると、建設業は41%の減益(4~6月期、大手ゼネコン4社)です。建設業は昔から、世の中の経済動向より「半年から1年程度遅れる」と言われていますが、まさに「歴史は繰り返す」という言葉通りの状況に思えます。
さらに、資機材の高騰も続いており、「水道管などに使う塩ビ管は1割UP、型枠合板も最高値を付けた」とのこと。先月も述べましたが、材料(原料)費が上昇しているようです。
現在の製造業の好況感が来年の今頃、建設業にも流れてくると良いのですが、このまま資機材が高止まりするようでは、お客さま(建て主)も建設への設備投資をためらってしまうことが想定され、楽観はできませんね。動向を見守っていきましょう。
さて、下記に先月のコスト状況(8月初旬発表)をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材は先月に引き続き、上昇傾向です。
RC系資材は一部上昇傾向ですが、概ね先月に引き続き、横ばいです。
建築費指数はS造、RC造とも先月に引き続き、上昇傾向です。
2.都市間格差の傾向
今回はS造のオフィス、ホテル、店舗をピックアップしています。
どの用途も東京を基準とした場合、名古屋、札幌が上昇傾向にあります。
低い傾向(90以下)にあるのはこれまでと変わらずどの用途も「金沢、新潟、高松」の3都市です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
下降
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
現状維持
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
- ●セメント バラ 東京
S造 オフィスの建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 ホテルの建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 店舗の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京