建設市況レポート(24年07月)
競争から協調へ
厳しい暑さが到来しています。この炎天下の中、特に現場作業を行うみなさまにおかれましては、十二分に熱中症にご留意頂ければと思います。
熱い話題といえば、選挙が挙げられるでしょうか。
2024年は世界的な「選挙イヤー」とも呼ばれており、主要国での大型の選挙が相次いでいます。
先日は日本でも東京都知事選挙が行われました。
SNSにより、以前に比べてよりダイレクトに民意が反映されているように映ります。
世界的な物価上昇は各国の選挙結果にも影響を及ぼし、既存体制への不満となって表出しているようです※。
様々に不安定な状況が各所で散見される中で、経済への影響を注視していく必要があります。
さて、先月のレポートではゼネコンさん、サブコンさん(以下、設計施工者)各社の逼迫状況についてお伝えしました。
今回はそれらが建設プロジェクト(以下、建設PJ)に及ぼす影響の一例をお示ししたいと思います。
図表1は、直近2年間の建設PJにおける設計施工者の選定状況を示したものです。
これを見ると、プロポーザルや入札のために「競争環境を構築できた」のは全体の6割弱となっています。
そして4割弱が、「競争環境の構築を試みるも最終的に1社となった」もしくは「特命」という結果です。
これは数年前には考えられない状況と言えます。
また、この設計施工者の繁忙状況にあって、「不調」は2%と存外少ないようにも見えますが、これは発注者と山下PMCによる努力の賜物である-八方手を尽くして不調を回避している-ということが、各建設PJの担当者へのヒアリングを通じて見えてきました。
図表1「設計施工者の選定状況」
設計施工者各社へのサウンディングからも、現在のこの状況が当面続きそうであることは明白です。
建設PJを前に進めるために、いかに取り組み可能な体制を構築するか。
様相は「競争」から「協調」へと比重を移しているようです。
※「フランス政治、極右阻止後に待ち受ける混迷」(日本経済新聞、2024年7月8日)
「ポピュリズムは変幻自在 脱悪魔、保守にもリベラルにも」(日本経済新聞、2024年7月12日)
「不人気首脳は世界経済のリスク 保護主義より改革競え」(日本経済新聞、2024年7月14日)
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材(鉄スクラップを除く)は横ばいです。
RC系資材はセメント及び普通合板は横ばいですが、生コンクリートが8p上昇しています。
建築費指数はS造、RC造それぞれ0.5p、0.6pじわじわと上昇しています。
その他、銅価格及び電線価格は共にピークアウトの状況です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
上昇
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
-
【3代目】アナリストK
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 3部 チーフプロジェクトマネジャー岩下孝樹 -
アシスタントM
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 1部松尾一輝