建設市況レポート(24年06月)
再開発と半導体
山下PMCは5月より、築地から日本橋に本社を移し元気に稼働しています。
個人的にはランチの開拓もまだまだこれからといったところですが、近場では様々な再開発計画を目にします。
話題の神宮外苑地区や築地市場跡地等の都心はもとより、地方都市においても大規模な再開発が後を絶ちません。(もちろん、山下PMCは各所でご支援させていただいております!)
翻って、連日のようにニュースから聞こえてくる言葉が「半導体」です。
ついに米半導体エヌビディアの時価総額がマイクロソフトを抜き世界首位となりました※1。
国内でもTSMCやラピダスのニュースは大きく報道され、補助金を伴う大規模投資が乱立している状況です。
個人的に深く関係する業界であり、我が国の半導体関連企業の発展の一助になればとの思いのうちにご支援に奔走しています。
これらの大規模な再開発や半導体関連施設の建設を担うゼネコンさん、サブコンさん各社の逼迫状況は言うに及びません。
主要5社平均の受注高と利益率の推移を重ね合わせてみました(図表1)。
これを見ると、受注高がやや上昇傾向にあるものの、利益率はむしろ減少傾向にあることがわかります。
特に、ゼネコンさんの受注高の上昇傾向に対する利益率の減少傾向が顕著です。
人手不足の深刻化、短工期設定、2024年問題、資材やエネルギー価格、労務費の上昇等、様々な要因がありますが、いずれにせよ各社は今後、利益率改善に向けた受注選別等の取り組みを行うものと思われます。
図表1「ゼネコン・サブコンの受注高と利益率(各主要5社の平均)」
続いて、主要5社の平均繰越高(指数)の推移を示します(図表2)。
大規模かつ高度な技術を必要とする施設建設の多発により、特にサブコンさんの逼迫状況が深刻化していることが見て取れます。
実際の建設プロジェクトに携わる方々は、何よりこのことを痛切に感じているのではないでしょうか。
図表2「ゼネコン・サブコンの繰越高指数(各主要5社の平均)」
当面は解消の見通しの立ちにくいこの状況下で、やりようを模索することに関係者は心血を注いでいます。
誰かが不利益を被ることなく、皆がWin-Winで前向きに物事が進んでいくような情勢となることを切に願います。
※1「NVIDIA時価総額、世界首位526兆円 GAFAから主役交代」(日本経済新聞、2024年6月19日)
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材は微増、RC系資材は横ばいです。
建築費指数はS造が横ばい、RC造は0.1p減少となっています。
その他、銅価格が落ち着きを見せていますが、電線価格は引き続き上昇しています。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
現状維持
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
下降
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
-
【3代目】アナリストK
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 3部 チーフプロジェクトマネジャー岩下孝樹 -
アシスタントM
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 1部松尾一輝