建設市況レポート(24年05月)
業界、会社と人財
大型のゴールデンウィーク、皆様はどのように過ごされたでしょうか。
旅行者数は昨年度比で増加のようですが、物価高や円安の煽りを受けて、近場で過ごす人も多かったようです※1。
他方で、街中で外国の方々を目にすることも増えましたね。
この3月には訪日客数が過去最高を記録したようです※2。
少し前のコロナ禍の状況を鑑みると、日本経済にとっては喜ばしい状況ですが、正直、物価高と円安には少し落ち着いてもらって、気楽に旅行をしたいなぁという気にもなります。
さて、先月のレポートにて「働き方改革」について触れましたが、現在の建設業の逼迫状況が端的にわかるグラフをご紹介します。
図表1:建設投資額、建設業就業者数の推移
図表2:生産年齢人口と建設業就業者数の減少
2000年度 | 2023年度 | 減少率 | |
---|---|---|---|
生産年齢人口(千人) | 86,380 | 73,952 | ▲14.3% |
建設業就業者数(千人) | 6,530 | 4,830 | ▲26.0% |
建設投資額と、建設業就業者数の推移を重ね合わせたものです(図表1)。
これを見ると、近年増加傾向にある投資額に対して、就業者数はやや減少傾向にあることがわかります。
建設就業者数は2000年から26%も減少しており、これは同時期の日本全体の生産年齢人口の減少率である14%を大きく上回る数値です(図表2)。
現在の状況が劇的に改善する見通しは立てにくいのですが、中長期的な観点で、改善を目指すべき状況と言えます。
建設業に限らず、各業界・各社が人材に苦慮し、新卒の囲い込みや若手社員の引き留めに画策している状況かと思います※3。
ちなみに、山下PMCでは「人材」の代わりに「人財」という表現を用いています。
既存の枠組みに囚われない取り組みが必要になりそうです。
※1「2024年ゴールデンウィークの旅行動向」(JTB、2024年4月4日ニュースリリース)
※2「オーバーツーリズムなぜ?国内回帰も混雑に拍車」(日本経済新聞、2024年4月22日)
※3「働きがい数値、47%が開示」(日本経済新聞、2024年3月24日)
「新入社員4割が転職検討 引き留めに企業が対策」(日本経済新聞、2024年5月9日)
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材(スクラップは除く)、RC系資材とも、先月に続き、横ばいです。
建築費指数について、S造、RC造ともに上昇しています(1.2~1.6ポイント程度の上昇)。
原油価格や電線価格等が引き続き上昇しており、注視が必要な状況です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
下降
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
-
【3代目】アナリストK
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 3部 チーフプロジェクトマネジャー岩下孝樹 -
アシスタントM
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 1部松尾一輝