建設市況レポート(24年04月)
建設業の働き方改革スタート
3代目アナリストKを拝命した岩下孝樹です。
R&D施設や生産施設のプロジェクトに多く関与しています。
アシスタントの松尾一輝とともに、建設プロジェクトの最前線から感じられることも踏まえながら、コストの動向についてコメントできればと思います。

新年度が始まりました。
新入社員と思しき方々をあちこちで目にし、その初々しさに私自身も新鮮な思いになる時期です。
翻って建設業界の観点では、2024年は大きな節目になりそうです。
長らく2024年問題と言われてきた労働時間の規制がこの4月から適用されます。
物流業界や医療業界においても同様に「働き方改革」が実行され、社会が変わりゆく潮目となるかもしれません。
これをきっかけに、持続可能な業界に向けて適切な賃金設定や労務環境の整備が進み、多くの人が参入して業界が盛り上がればと思います。
他方で、現在進行形の建設プロジェクトに及ぼす影響は看過できません。
以前よりも工期が必要になることは避けられず、昨今の逼迫した建設業界における人手不足の状況も相まって、現場に人を呼ぶために労務費が嵩む懸念もあります。
上述の物流業界における労働時間規制によって運搬コストが上がり、材料コストの上昇にも繋がります※1。
ゼネコンさん、サブコンさん各社においても、残業規制への対応目途が立っていないところが多いのが実情のようです※2。
このような過渡期においては、“ひずみ”が生じることの懸念があります。
他者への押し付けや隠蔽等を防ぐためにも、世の中の建設業界に対する理解が進むことが必要だと感じます。
余裕ある工期や予算を予め見込む等、これまでの意識を変える必要がありそうです。
そのようなことを経て、我が国の建設業界を持続可能なものとして、次世代に繋いでいきたいものです。
※1「アスファルト3%値上がり 24年問題で異例のコスト転嫁」(日本経済新聞、2024年3月28日)
※2「ゼネコン4割が残業規制クリアめど立たず 2024年問題」(日本経済新聞、2024年3月19日)
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材(鉄スクラップを除く)、RC系資材とも横ばいです。
建築費指数についても、S造、RC造ともに横ばいです。
とはいえ、上述した働き方改革や、原油価格の上昇に見る中東情勢の不透明感等、注視が必要な状況です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ それ以外:2011年4月比
推移傾向
現状維持
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
現状維持
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
下降
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ 上記以外:2011年4月比
推移傾向
現状維持
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
-
【3代目】アナリストK
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 3部 チーフプロジェクトマネジャー岩下孝樹 -
アシスタントM
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 1部松尾一輝
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