建設市況レポート(24年03月)
今月の建設市況と今後の見通し
これまでありがとうございました!
約5年間担当してきましたが今月が最後のレポートになり、4月からは新しい「アナリストK」がお届けします。
今までありがとうございました。
さて私が担当した2019年からの資機材と建築費指数を以下に示します。
2019年当時もオリンピック関連などにより2014年頃から高騰が続いておりましたが「オリンピック終了後の工事費は落ち着くのでは?」との見方もありました。
過去5年間(2019年から)の資機材・工事費の推移
しかし結果はグラフの通り右肩上がりとなりました。
結果論だからとも言えますが、当時、私は「工事費は落ち着くかもしれないが急な右肩下がりは無いと思います。責任は持てませんが……」とお客様に答えていました。
理由はこれまでも述べてきた「世の中の設備投資が堅調の中、労務不足が解消されない事による需要と供給のバランスにより工事費は下げられない」という建設業界の事情に起因する考えを述べていました。
この考えは正しかったと思いますが、実際はこれに加えて半導体やデータセンターに対する国策のような補助金・助成金の支給により、想像以上に労務不足に拍車がかかり工事費が高騰しました。
ゼネコン・サブコンさんともに受嘱状況は好調の(溢れている)様で、特命受注の依頼をしても「残念ながら受けられない」という回答がほとんどで、5年前には考えられない状況です。
更にこの状況が3~5年先まで続くかもしれない、という予想もあります。
ただこの様な状況が目立っているのは首都圏の大規模案件や高度な建築・設備の技術を要する用途(工場や研究所)などであり、地方案件や通常の建築技術で対応できる中規模クラスであれば、目が丸くなるような高額な見積金額にはならない可能性もあります。
私個人の見解ですが、昭和時代から日本を支えてきた高度な建築技術を持つゼネコン・サブコン各社の技術者が一定数以上育っていないことが原因だと考えています。
ここでいう高度な建築技術とは「大規模案件をまとめる管理者、最先端技術と融合する建築を建設する技術者」のことです。
建築業界を支えてきた高度な技術をもつ方々がバブル崩壊後に減ったことにより現在の設備投資+国策案件の需要を請け負えなくなってしまったのでは? と考えています。
ただ現在の高額な工事費のまま落ち着くとは思えないので、様子を見ていく必要がありますね。
実際に地方の文化施設や庁舎、オフィス案件などは何とか工事発注に進めているものもあるので、今後も情報を集めて皆さんにコメントを届けていきたいと思います。
その役割を次の「アナリストK」に託したいと思います。
皆さま、これまで拙いコメントにお付き合いいただきありがとうございました。
さて、下記に先月のコスト状況(3月初旬発表)をお伝えします。
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材(スクラップは除く)、RC系資材とも、先月に続き、横ばいです。
建築費指数はS造、RC造とも先月に続き、上昇しています。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京