建設市況レポート(24年08月)
世界との競い合い
連日、オリンピックのニュースが飛び交っています。
4年に一度のスポーツの祭典、やはりいやが上にも盛り上がりますね。
メダル獲得という結果だけでなく、様々なドラマに心動かされます。
翻って建設業界に身を置くものとしては、一見オリンピックのような華々しさとは無縁のようにも感じられますが、多くの関係者とともに歳月をかけて建物を築き上げていく様は、スポーツとの共通項も見出せるような気もします。
プロジェクトの後には建物が残り、人々が営んでいくという目に見える結果を残せることは、贅沢なことであるとも言えそうです。
パリでの熱い大会に呼応するようにして、「世界競争力ランキング」の推移をお示しします。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表するもので、以下の4つのカテゴリーごとの評価を統合したものです。
- 1 経済状況(国内経済、貿易、雇用、物価 等)
- 2 政府の効率性(財政、税政、制度設計 等)
- 3 ビジネスの効率性(生産性、財務、経営 等)
- 4 インフラ(技術インフラ、健康、環境、教育 等)
6月に発表された最新ランキングにおいて、日本は38位となっています。
重要なのは現在位置だけでなく、現在に至る傾向です。
残念ながら日本は後退トレンドにあり、過去最低を更新し続けています。
トップを走ってきたアメリカがここ数年で失速し、他方で中国は上昇傾向にあります。
シンガポールが常にトップポジションを保持していることも特筆すべき傾向です。
日本の落ち込みの要因として、企業の効率性の低下に加え、長年にわたる技術革新への投資不足があり※1、対してシンガポールやデンマークなどの上位国は、技術革新に積極的であるようです。
特に今後、脱炭素への移行やデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応が鍵になると言われています※2。
これはあくまで一つの切り口からの結果であるとも言えますが、日本の減少トレンドを見て見ないふりはできません。
経済は世界と地続きであり、人口が減少し、市場が縮小する我が国にあって、しのぎを削るアスリートのように、世界を直視して戦う姿勢が必要となりそうです。
図表1「世界競争力ランキングの推移」
※1「最先端の重要性(建設論評)」(建設通信新聞、2024年7月12日)
※2「世界競争力、首位はシンガポール 日本は過去最低38位」(日本経済新聞、2024年6月18日)
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材(鉄スクラップを除く)、RC系資材とも横ばいです。
建築費指数はS造、RC造それぞれ0.2p、0.9p、先月に引き続きじわじわと上昇しています。
その他、銅価格は下落していますが、電線価格は再び上昇しています。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
-
【3代目】アナリストK
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 3部 チーフプロジェクトマネジャー岩下孝樹 -
アシスタントM
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進部門 1部松尾一輝