20周年記念パネルディスカッション(1) B.LEAGUE チェアマン 大河正明氏
山下PMC創立20周年記念の第2部として、Bリーグチェアマンの大河正明さん、JTB観光立国マネージャーの山下真輝さん、建築家の妹島和世さん、そしてチームラボキッズ代表取締役 松本明耐さんという各分野で先進的な取り組みを行っているパネリストたちによるトークセッションを行いました。テーマは「日本の社会を元気にする」。これは「もの」づくりから「こと」づくりへと変わり、地方がモデルケースとなった新しい社会のあり方が国内外から注目されるリアルな日本社会を、多方向から紹介し、考察するというものです。パネリストから、さまざまな興味深い意見を伺いましたが、ここではその一部を紹介します。
今回は、Bリーグチェアマンの大河正明さんのお話です。
「B.LEAGUE」で目指すのは地域に根差したプロスポーツチーム
男子のプロバスケットボールリーグ『B.LEAGUE』は2016年9月に開幕しました。それまで日本国内には2つのリーグ(ナショナル・バスケットボール・リーグ【NBL】と日本プロバスケットボールリーグ【bjリーグ】)が並立していました。
そのため、日本協会が国際連盟から資格停止処分を受ける事態に……B.LEAGUEは、それを受けて誕生した新リーグです。
私は、サッカーのJリーグでの理事を経て、現職になりました。その経験を経て大切にしたのは、地域に根差したチーム作りです。現在、B.LEAGUEには、34都道府県に45のクラブがあります。ちなみにサッカーは38都道府県に54のクラブです。つまり、日本の全国の津々浦々にクラブが存在し、それぞれ地元の人を中心に盛り上がっているのです。試合前にそれぞれの地域の県民歌を歌います。例えば田臥 勇太選手が在籍し、優勝を果たした『栃木ブレックス』なら、栃木県民歌です。
自分たちの県民歌や市民の歌を試合前に歌い、1試合に何百回と地域の名前を連呼しながら応援すると、地元への愛が生まれていきます。私たちの使命は、全国にバスケットのクラブができ、来る、見る、支えるということを応援すること。余談ですが、観戦者の平均年齢を調べると、サッカーは40歳くらいになりますが、バスケットボールは30歳くらいと若く、女性が多いのです。人気漫画『スラムダンク』世代がコアゾーンになっています。ただ、問題があり、若い人が多いから、テレビの視聴率が取れない(笑)。しかし、開幕戦のときにLINEで無料放送をしたのですが、300万人以上のアクセスがありました。
エンタメ性を徹底追求
私達には世界に通用する選手やチームの輩出、エンターテイメント性の追求、夢のアリーナの実現という3つの夢があります。エンタメ性の追求部分で、チームラボとタッグを組み、『舞洲エヴェッサパーク チームラボ4Dステージ』を実現しました。これは、試合の前に光、プロジェクションマッピングなどを行い、非日常空間で観戦するという体験を提供するものです。
B.LEAGUEでは、選手との距離の近さ、音と光がアリーナスポーツの醍醐味です。これからは、アリーナを自前で作れるようになっていきたい。スポーツだけではなく、エンタメ、スポーツ、ビジネス、文化教育を融合させたアリーナを私達は目指しています。
山下PMC創立20周年記念 講演会「日本の社会を元気にする」
(公社)ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグチェアマン、(公財)日本バスケットボール協会 副会長
大河 正明(おおかわ・まさあき)
京都大学卒業後30年近く勤務した三菱東京UFJ銀行を退行し、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)入社。クラブライセンスマネージャー、常務理事を務めたのち、その手腕を買われBリーグのチェアマンに就任。地方創生の時代の地域根差したクラブづくり、地域を活性化する夢のアリーナづくりに取り組む。