長崎市交流拠点施設PFI事業
3事業4施設建築プロジェクトでの横断的マネジメントで代表企業をサポート
「お客さまの声」で紹介した2つの施設「ヒルトン長崎」「NBC長崎放送新社屋」は、長崎市による交流拠点施設PFI事業の内の付帯事業としての民間収益事業です。 本記事で紹介する「出島メッセ長崎」は、長崎にMICE誘致・創出を推進する拠点施設であるのと同時に、長崎のまちの新たな交流拠点として誕生。 株式会社九電工は、交流拠点施設事業全体、MICE事業の代表企業を担いました。 山下PMCは、全体事業のPMとして参画し、九電工をサポートしました。
長崎市交流拠点施設PFI事業
長崎市が進める“交流の産業化による長崎創生”をキーワードに、官民が力を結集させ、これからの時代にふさわしい新しい交流の形をつくる事業。国内外から多くの来訪者を呼び込むとともに市民交流を促進するMICE施設「出島メッセ長崎」、都市ブランドの向上につながるホテル「ヒルトン長崎」、地域の賑わいと活力を生み出し情報を発信する放送局「NBC長崎放送新社屋」、および3施設の来訪者が使用する駐車場を整備。山下PMCは、全体事業のPMとして代表企業の株式会社九電工を支援。これらを相互連携させ一つの事業として構築することで、新しい交流の場が実現した。

話し手のご紹介
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友池昌寛さん
株式会社九電工
長崎支店 執行役員 支店長 -

野中正綱さん
株式会社九電工
営業本部 事業開発副部長 -

横田憲行さん
株式会社九電工
東京本社 営業本部 営業二部
営業二課 副長 -

村田達志
山下PMC
取締役 常務執行役員 CMO
事業創造推進本部 第一本部長 -

諸山隆法
山下PMC
事業創造推進本部 第7部 プロジェクトマネジャー
PFI事業としても画期的な事例
市民や国内外からの来訪者、世界とのつながりを生む場所「出島メッセ長崎」。交流ネットワーク・観光ハブ拠点として、「交流を生み、交流を育むまち長崎」の文化を醸成し、長崎市の将来の長崎像である「個性輝く世界都市」、「希望あふれる人間都市」の実現へ。Photo:©Toshihisa Ishii
山下PMCが全体事業のPMとして参画することで、より横断的なマネジメントが可能になりました
まず、長崎市交流拠点施設事業全体の代表企業を担われた経緯をお話しください。
- 野中
- 日本でPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が施行されたのは1999年。
弊社は、九州に根ざした企業として、以前からさまざまな社会資本の整備に関わってきました。
地域の賑わいの創出や地域貢献にも積極的に取り組んできたので、そうした企業理念に合致したPFI案件には2003年頃から参画し、これまでに約50件の実績があります。本件も早い段階から関心を持っていました。 - 横田
- 大規模MICE施設ということもあり、九州だけでなく全国的に高い関心が寄せられていた事業です。
さらに、MICEを独立採算で運用し、かつ民間収益事業との複合事業となるPPP/PFI事業として画期的な事例となると考えました。
これまで培ったノウハウを活かすだけにとどまらず、さらなる知見を得られる場でした。
長崎市が求める「国内外からの集客を見込める民間収益施設」を実現する上で、どのようなことが難しかったですか?
- 野中
- ホテル事業では、エムエスケイさまやヒルトンさま、放送局のNBC長崎放送さま、そのほかにも設計・施工・運営など、多くの国内や九州を代表する企業さまに優れたプレイヤーとして事業参画いただいたことが、このプロジェクト成功への起点となったと思います。ただ、当初は課題が山積していたのも事実です。
- 横田
- 事業の要は、発注元である長崎市さまと代表企業である九電工の間で進める形です。このやりとりを太く確かなものにしつつ、MICE、ヒルトン長崎、NBC長崎放送、各施設の利用者が使用する駐車場、4つの施設づくりに関わる多くの事業者の利害関係やスケジュールの調整もしなければなりません。従来の経験ではなかった複雑さがありました。
そこで、山下PMCさまにPFI事業全体のマネジメント支援を依頼。同時に、ホテルと放送局のPM/CM業務も担当され、より横断的な事業者間の調整が可能になりました。
稲佐山の展望台から長崎市中心部を望む。長崎港へと流れる浦上川東岸に誕生した「長崎市交流施設」は、長崎市中心部の新たなランドマークとして市民からの認知度も高い。稲佐山からの「眺望」にも配慮されたデザインが検討された。
A:NBC長崎放送(NBCビル)、B:ヒルトン長崎、C:出島メッセ長崎、D:JR長崎駅、E:建設中の新しい長崎市庁舎、F:長崎県庁舎。Ⓒkagurasyuppankikaku
- PPP
- 公民が連携して公共サービスの提供を行うスキーム「Public Private Partnership(官民連携事業)」の総称。PFI、指定管理者制度、市場化テスト、公設民営(DBO)方式、さらに包括的民間委託などが含まれる。
- PFI
- 「Private Finance Initiative(民間資金等活用事業)」は、地方公共団体が発注者となり、公共事業として行うもの。公共施設等の設計・建設・維持管理および運営に、民間の資金とノウハウを活用する公共事業の手法。
- MICE
- 企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際会議 (Convention)、展示会・見本市/イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語であり、これらのビジネスイベントの総称。
関連する用途
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公共
2014年6月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が改正され、公共工事においても多様な発注方式の採用が認められたことで、DB(デザインビルド・設計施工一括発注)方式、ECI(施工者が早期に関与)方式などが普及しつつあります。一方で、自治体の技術職員が減少する中で、2020年9月には「地方公共団体におけるピュア型CM方式ガイドライン」が発行され、複雑化・高度化する事業をCM活用により着実に推進する手法が広がりをみせています。また、多くの自治体では高度成長期に建設された施設の老朽化が進み、PRE戦略や公共施設マネジメントの立案・実施も課題となっています。
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PPP/PFI
PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)とは、公共サービスの提供に民間が参画する手法を幅広くとらえた概念です。民間資本や民間のノウハウを活用し、サービス提供の効率化やサービス水準の向上を目指しています。主な方式として、包括的民間委託、DBO(公設民営)方式などがあげられます。 PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)とは、PPPの手法のひとつで、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用するPFI法に基づく公共事業手法を指します。主な手法として公共施設等運営権(コンセッション)方式などがあげられます。 国は、PPP/PFIの積極導入を進めており、公共、民間双方の取組みが求められています。
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