プロジェクトストーリー
ブライズワード アルモニーソルーナ表参道
ブライダル激戦区に複合施設をビルイン出店
本日は東京・原宿に誕生した大型商業施設「キュープラザ原宿」の核テナントとしてブライダル複合施設「アルモニーソルーナ表参道」を出店した株式会社ブライズワードのお2人にお越しいただき、山下PMCの担当者とともにプロジェクトを振り返っていただきます。最初に、出店を計画された背景や経緯について教えてください。
Story
#06
話し手のご紹介
-
秋吉 宗徳
ブライズワード
代表取締役社長
■本プロジェクトでの役割
事業統轄責任者 -
澤田 大仁
ブライズワード
執行役員
営業本部オペレーション統括
■本プロジェクトでの役割
プロジェクト実務責任者 -
中原 貴文
山下ピー・エム・コンサルタンツ
事業創造本部
ホスピタリティ・コンサルティング部 プロジェクトマネジャー
■本プロジェクトでの役割
プロジェクトマネジャー -
深瀬 章子
山下ピー・エム・コンサルタンツ
事業創造本部
ホスピタリティ・コンサルティング部 プロジェクトマネジャー
■本プロジェクトでの役割
FF&E調達マネジャー
[~2014年3月]お客様目線で価値あるブライダルを創造
コンセプトはFor You & For Guest。
コストパフォーマンスを追求して
ブライダル業界に一石を投じたい。(秋吉)
- 秋吉
- 当社はブライダル、ホテル、飲食の3事業を一体化した複合施設を展開しています。これまで西日本エリアを中心に出店してきましたが、今回、縁あって原宿・表参道の新ランドマークとして建設された「キュープラザ原宿」に、ブライダルと飲食の複合施設を出店する好機を得ました。これが東京への初進出ということになります。
大型商業施設への出店(=ビルイン)も初めての試みになりますが、複合事業を展開する当社の特性を考えたときに、ビルインという形式がより有効に働くと判断しました。レストランを核として、そこを訪れたお客様に「アルモニーソルーナ表参道」を評価・認知していただくことで、婚礼やパーティのお客様の拡大を図っていくことができますし、他のテナントに来られた多くのお客様にもレストランを導入口として広くアピールできるメリットがあるからです。
- 澤田
- 婚礼は一生に1回きりのものですが、ブライダルとレストランなどを一体化した複合施設であれば、新郎新婦が記念日ごとにレストランを利用してくださるかもしれませんし、あるいは式に参列したゲストの方々にもご来店いただけるかもしれません。このように当社では「もう一度訪れたくなる施設」をテーマに施設運営に当たっています。言い換えれば、他部門と連携することで生まれるシナジーが当社の強みなのです。
東京出店に当たっての戦略やコンセプトをお聞かせください。
- 秋吉
- 原宿・表参道というエリアは、婚礼マーケットにおいて全国最大の激戦区です。敢えてここに旗艦店を出店することで、ブライダル業界に一石を投じたいと考えました。近年は少子化傾向で婚姻組数が減ってきており、その上、結婚はしても挙式をしない、いわゆる「ナシ婚」の方たちが増えてきています。その大きな理由が費用です。つまり従来の結婚式は、プライシングと提供する価値のバランスがお客様に納得していただけなかったのです。もっとお客様の目線、ゲストの目線に立ったコンテンツやオペレーションを展開していく必要があるし、そうすれば、お客様の意識も変わるはず――そう信じています。
当社のブライダル事業のコンセプトは「For You & For Guest」。アルモニーソルーナ表参道でも、コストパフォーマンスを非常に重視したサービスを提供しています。ブライダル業界では婚礼衣装や花などはパートナー企業と提携するケースが多いのですが、当社では内製化を進めて原価を抑え、お客様にクオリティの高いものをご提供できる体制を構築しています。
- 澤田
- お客様に喜んでいただけるよう努力した一例として、披露宴での生ビールの提供を実現させたことが挙げられます。これまで大人数の宴会や披露宴では、瓶ビールが一般的でした。大人数で乾杯するには、1杯ずつ注いでから運ぶ生ビールのスピードでは間に合わないからです。しかし、瓶は時間が経つと温くなってしまいますから、「披露宴でも冷たい生ビールを飲みたい」というご要望は大きかったのです。そこで、ビールメーカーと相談して、ビアホール用に開発中だった高速生ビールサーバーをアレンジし、ブライダル業界で初めて披露宴に導入しました。150名もの会場で、生ビールで乾杯できるのは全国でもここだけでしょう。
自社施設の感覚で考えていたことがテナントでは難しいケースもあり、どうしたものかと悩んでいました。(澤田)
プロジェクトを進める上で、PMが必要だと感じたのは、なぜでしょうか。
- 秋吉
- 今回、大型商業施設にテナントとして入るのが初めてだったことから、いろいろ戸惑うことがありました。当社の親会社に店舗開発・管理を担うセクションがあり、サポートも受けてはいましたが、ビルイン出店型の施設開発に関しては経験がありません。基本設計の段階で、われわれの要望を設計者になかなかうまく伝えることができず、予算は膨らみ、スケジュールにも遅れが生じていたのです。そこで、ビルイン出店についてのノウハウを持っているPM会社に客観的な立場で間に入ってもらい、全体のコントロールをお願いしようということになりました。
- 澤田
- ブライダル事業ではお客様のプライバシーを考慮しなければいけません。たとえばエレベータで他のテナントへ向かう一般客との鉢合わせを避けるために専用の動線が必要になるなど、どうしても譲れない条件があります。これまで自社施設の感覚では当たり前だったことがビルイン出店では難しいケースもあり、どうしたものかと悩んでいたのです。打開策を打ち出すためには、専門家のアドバイスが必要でした。
- 中原
- 商業施設の工事の場合、ビル事業者の資産であるA工事、出店者の要望によりA工事内容に変更を加えるB工事、出店区画内のC工事があります。今回は出店者の負担となるB工事が、店内エレベーターをはじめ通常では考えにくい大がかりな内容となり、相当なコストが見込まれました。このコストの縮減のためには、工事区分などさまざまな条件をビル事業者と調整する作業が重要になります。またB工事の要望を高い品質で実現するには、A・B工事設計者やC工事設計者との綿密な打ち合わせも必要です。こうした調整、とりまとめ役として山下PMCにお声掛けをいただきました。
プロジェクトに関わったマネジャー
関連する用途
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商業施設
消費嗜好の多様化が加速するなかで、商業施設にはこれまで以上にコンセプトの斬新さや、他施設との差別化が求められています。Eコマースの成長が著しいこの時代には、実店舗ならではのコンセプトメイクも重要です。従来通りの店舗計画が必ずしも最適といえず、商空間はそのあり方自体が常に問い直されているともいえます。適切なマーケット分析・敷地分析をベースに、違いを生み出す施設コンセプトを立案し、適切なMDへと展開していくことの重要性は今後ますます高まっていくでしょう。