PROJECT 06

ブライズワード 
アルモニーソルーナ表参道(後編)

プロジェクト座談〈中編〉

ブライダル激戦区に複合施設をビルイン出店

[2014年7月~2015年4月]

分離発注の提案やインフラルート確保に尽力

現地工場の様子まで確認したうえで、
小規模な家具販売会社も加えて選択肢の幅を広げました。(深瀬)

C工事の発注方式や業者の選定方法について教えてください。

中原:
コストやスケジュールの観点から、C工事では内装・設備工事、AV関連、厨房機器、FF&E(家具、什器、備品等)を分離して発注する方式を選びました。

深瀬:
FF&E調達業者の選定では、ブライズワード様の要望をお聞きし、施設のコンセプトを把握した上で、どういうパフォーマンスが求められるかを考え、設計施工も手掛けるデザイン会社や百貨店、大手家具販売会社など多様な業態からピックアップして見積もりを取りました。与信が通りやすい規模の大きな会社では、同じような見積額が出てきてしまうため、お客様に各社のメリット・デメリットを説明した上で、規模は小さいけれども実績のある会社を1社、候補に入れて選択肢に幅を持たせました。
澤田:
分離発注にした効果は大きかったですね。以前に別の施設をリノベーションした際は、大手ゼネコンさんにワンストップでデザインからFF&Eまで手配してもらえて助かったのですが、今回はもう少しキメ細かくコスト管理をしたいと思いました。その点、今回の提案はコストの適正化を図る上で非常にありがたかったですね。金額に対する納得感を得られました。
深瀬:
大手が取り引きしている家具工場は、ワーカーが1000人いるような規模の大きい工場ですが、今回ご紹介した小さな会社は、職人気質の工場に仕事を依頼しています。PMとして私自身が実際に現地へ足を運んで工場のインスペクションを行い、会社の規模は小さいものの品質は確かであることを確認したうえで採用しました。大工場で経験を積んだ方が独立した会社なので、要求される製品のレベルも理解されており、安心できました。

FF&Eは分離発注とし、コスト適正化を提案した。FF&Eは分離発注とし、コスト適正化を提案した。

秋吉:
いろいろ柔軟に対応してもらい、確かに誠意が伝わってくる仕事ぶりでした。懸念していたアフターケアでも全く問題なくやっていただきました。
深瀬:
設計会社に対しては、搬入方法まで考慮して事前に図面をチェックしました。たとえば、テナントビルはどうしてもエレベータのサイズが小さめですので、家具を分割してエレベータに載るサイズで製作してもらうといった視点です。

ビル事業者や設計者との調整を繰り返し、
インフラルートを確保することができました。(中原)

今回のプロジェクトは、大型商業施設の核テナントとしてブライダル複合施設が出店するという珍しいケースですが、ブライダルの特性に由来する難しさはありましたか。

秋吉:
ブライダル施設だけであればまだしも、われわれの事業は複合しているので、さらに難しかったですね。たとえば、披露宴などの宴会とレストランとを同時に回していけるようにバンケット(宴会場)厨房とレストラン厨房を連携させる必要がありました。バンケットでお出しする料理は、主に通常営業しているレストランの厨房で作るからです。お客様のスペースを広げるためにバンケット厨房は機能を最小限に留め、レストラン厨房で仕込みをした料理の仕上げだけを行う形ですね。

また、披露宴の待合室を一般宴会のカクテルパーティーのスペースにするなど、多機能性を持たせています。今回は施設規模が大きいだけに、ビルインでそれらを実現していくのは本当に大変でした。

レストラン厨房(左)で仕込みをした料理をバンケット厨房(右)に運び、仕上げをする。

レストラン厨房(左)で仕込みをした料理をバンケット厨房(右)に運び、仕上げをする。

レストラン厨房(左)で仕込みをした料理をバンケット厨房(右)に運び、仕上げをする。



澤田:
本来、レストラン厨房とバンケット厨房とでは求められる機能が違います。冷蔵庫の位置、できた料理を並べるデシャップスペースの有無、ストーブの大きさや数など細かなスペックも異なります。私たちが入居する3フロアに、用途の異なる6つの厨房を分散配置し、しかも各厨房に連携機能を持たせるのは、われわれにとって大きなハードルでした。

オペレーションも含めて各厨房の使い方を検討する上で、部屋別に管理する中原さんのオリジナルツールが役立ちました。すべての厨房を一括りにして考えていたのでは、何階のどの厨房に何の機能が足りないかは見えてきません。それを部屋ごとに、例えばB1のパティスリー厨房だけを個別に考えることで、「ゲストスペースから離れた位置にあるので、どんな追加機能が必要か」と詰めていくことができました。
中原:
厨房を分散させるということは、給排水設備、空調、換気などのインフラを毛細血管のように各フロアに張り巡らさなければいけないということです。ところが都心型商業施設の場合、どうしても収益面積が優先されるので、ダクトスペースには限りがあります。このプロジェクトでも、用意されているスペースでは足りず、インフラルートをつくるために設計上の調整が必須でした。お客様のこだわりを実現するため、ビル事業者と何度も話し合い、手立てを考えていきました。

聞き手:たかぎみ江、納見健悟、三上美絵