建設市況レポート(23年9月)
今月の建設市況と今後の見通し
建築業界の皆さまへ
今月お知らせするコストデータの建築費指数が“僅かながら下降”しているデータを見て「何かの間違いではないか」と思うほど、当社が担当しているプロジェクトでは建築費が高騰しています。
主に労務費の上昇が起因と思われますが、慢性的な労働者不足、現場の4週8閉所、働き方改革などにより、建築業界は仕事に対する取り組みを変えていく必要性に迫られています。
また、バブル崩壊・リーマンショック後に縮小していった建築業界は、国策といえる半導体関連やデータセンターなどへの必要な設備投資を支えるのに精一杯となり、他の用途を支援する力が残っていないような状況です。
このような状況のため、建築費の高騰自体には一定の理解はするものの、発注者様への説明が十分になされていない案件も見受けられます。
今回のタイトルは「建築業界の皆さまへ」ですが、当社からお願いしたいのは、「建築費高騰の理由をしっかりと発注者様へ説明しましょう」ということです。
これまでに経験したことがないような状況下だからこそ、従来の物価上昇下降の説明方法だけでなく、もっと分析をしたうえで、高騰の起因をお示しする必要があると思います。
発注者様にご理解頂かない事には何も始まりません。
わだかまりが残るだけです。
このような状況に陥らないとためにも、まずは物価上昇関連の資料をしっかりと作成し、発注者様への説明を行っていきましょう。
我々も努力します!
さて、下記に先月のコスト状況(9月初旬発表)をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材について、スクラップが上昇していますが、その他は下降または横ばいです。
RC系資材について、先月に続き横ばいです。
建築費指数について、先月、S造、RC造とも上昇傾向でしたが、今月はS造横ばい、RC造下降傾向です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
現状維持
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
下降
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
下降
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京