森永製菓新社屋「森永芝浦ビル」(後編)
自然と会話が生まれるオフィス

本社エリアをつなぐ中央階段「カクハンラウンジ」。階段を使うことで偶発的な会話が生まれ、健康にもいいと社内でも評判。© 株式会社エスエス 島尾望
一からつくり上げる自社ビルだからこそできたことだと感じています。
オフィス環境が変わったことの効果、また、皆さまのお気に入りのポイントを教えてください。
- 髙橋
- 社員間のコミュニケーションが増えたと感じています。特に内階段の効果は大きく、執務フロア内から上下階へ行き来ができます。また視野を遮るものが少ないオープンなフロアコンセプトもあって自然と会話しやすい雰囲気が生まれています。
- 竹澤
- 最近、気が付いたのですが、社員の服装が以前に比べてカジュアルでオシャレになった気がします。オフィスが明るく、開放的になったことで、社員の気分も変わったのだと実感しています。
- 髙橋
- 私が特に気に入っているのは、田町駅側から見える環境フレームです。環境面とデザイン面で今回のプロジェクトのこだわりの一つです。出社時に見るたびに気分を高めてくれるものであり、一からつくり上げる自社ビルだからこそできたことだと感じています。
- 竹澤
- 私は1階のカフェが気に入っています。打ち合わせにも使えますし、一人で仕事する時にも利用しています。一般のお客さんも気軽に入ってくつろいでいます。まるで街なかのカフェにいるようで、いい気分転換になります。このようなことは以前のオフィスにはなかった。心のゆとりを感じています。
- 原田
- 1階と2階をつなぐ専用エレベーターもあるので、イベント会場としての活用が楽しみです。
- 竹澤
- すでに2階は社内の発表会などで利用していますが、今後は外に開かれたイベントも企画しようという機運が生まれています。
最後に当プロジェクトで印象的だったことを教えてください。
- 笠原
- コロナ禍の緊急事態宣言下にスタートしたので印象深いプロジェクトになりました。困難な状況下で多くの関係者のさまざまな想いが結集した非常に価値ある建物ができたと思っています。ただ、本当のプロジェクトの成功は、ここを舞台にした森永製菓さんの「カクハン」の実現にあると思うので、我々も引き続きサポートさせていただきたいと思います。
- 竹澤
- 今回のようなプロジェクトには設計でも建設でもない、狭間の業務がたくさん存在します。そういう部分はつい見過ごされ、最終的に誰かがやらなければいけない重要なことが抜けてしまう可能性があると思います。しかし今回は、その隙間一つ一つを、山下PMCさんがしっかりとフォローされ、本体工事とその他の業務の連携を図ることで、予定通りの工期と予算で無事に本社運用を開始することができました。
 実は、山下PMCさんとの一番初めの打ち合わせのときに、建設のことだけでなく「社員が新社屋に移転して、何事もなかったかのように業務を開始するところまでがプロジェクトだと考えている」とお伝えしたのですが、それを最後まで、しっかり守って実行していただいたことを非常にありがたく思っています。
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 一般にも開放されている1階の「KOMOREBI CAFE」。ここにも伊万里市の杉材がふんだんに使われて木の温かみと森の木漏れ日をイメージさせる空間になっている。街路からつながり、地域との共創の場としても機能する。© 株式会社エスエス 島尾望 
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 光と風を取り込み、緑を映す外装フレーム。© 株式会社エスエス 島尾望 
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 屋上は地域とのつながりや生物多様性を意識したランドスケープになっている。芝浦に飛来する渡り鳥やチョウが好む木や花を選定し、植栽している。社員が自由に歩ける「ウォーキングコース」も整備。© 株式会社エスエス 島尾望 
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 外構の照明は外気温によって色温度が変化する。自然の揺らぎを発信している。© 株式会社エスエス 島尾望 
プロジェクト概要
| 発注者・所有者 | 森永製菓株式会社 | 
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区芝浦一丁目13番16号 | 
| 面積 | 敷地面積 3,328.78㎡ / 建築面積 2,046.67㎡ / 延床面積 15,611.21㎡ | 
| 規模 | 地上7階、地下1階建、塔屋1階 | 
| 構造 | 鉄骨造・一部木造・地下鉄筋コンクリート造・免震構造 | 
| そのほか | BELS評価ZEB Ready取得、CASBEE-SWO認証Sランク取得(CASBEEスマートウェルネスオフィス) | 
| 設計・監理・施工 | 株式会社竹中工務店 | 
| PMr/CMr | 株式会社山下PMC | 
| PM/CM業務期間 | 2020年4月~2024年3月 | 
| PM/CM業務内容 | 基本計画策定支援、設計・施工者選定支援、設計・施工マネジメント、開業支援 | 
| 山下PMC担当者 | 木下雅幸、鴨下清、笠原拓、小坂信哉、将木一刀、岡部篤、長谷川徹、森本博之 | 
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プロジェクトに関わったマネジャー
関連する用途
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                オフィス多くの業界が国内のみならずグローバルな視点をもって事業を推進されているなか、最近はカーボンニュートラルへの対応も考えていく必要に迫られています。自社オフィスにおいては、企業理念を体現するブランディングの実現や、イノベーションの創出を促す空間、web会議が根付いたことへの施設側の対応が求められています。また、テナントオフィスにおいては、採算性の向上や周辺競合施設との差別化を図るブランディングに加え、在宅勤務の増加によるオフィス面積減少の動きへの対応など、新たなオフィスビルの構築が求められています。 
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