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施設運営の勘違い

症例5:「前のめり症」あせりは禁物!まずは現状の見直しと再構築を

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症例5:「前のめり症」あせりは禁物!まずは現状の見直しと再構築を

これまでの連載で4つの症例(「自前主義症」、「その場しのぎ症」、「社員のやる気削ぐ症」、「発生型課題解決症」)に準え、施設運営にまつわる勘違いと対処法をご紹介してきました。連載第5回目は、山下PMCの『Facility Dr.』がお伝えしてきたことを簡単におさらいし、BPM(業務プロセス改革・構築支援:Business Process Management)の実践事例をご紹介します。

企業不動産(CRE)を“価値の源泉”と捉えた施設運営を実現するための目指すべき姿は、事業運営・資産運営・施設運営の「3つの運営」の歯車を嚙合わせることから始まります。そのためには、経営の将来像とのギャップから課題を整理する「設定型課題解決」のアプローチが必須となり、それらを実行する社員が施設運営のコア業務に専念できる環境をつくるためには、「社員エンゲージメント」を高める働き方改革を推進していく必要があります。これら一連の「すべきもの」を実行するためには、「人・スキル・時間・情報」といった経営資源を投入する必要がありますが、不足している経営資源を補うために、私たちFacility Dr.は、必要に応じて支援対応しています。

それではFacility Dr.の中核サービスであるBPMの実践事例をご紹介します。BPMは以下のステップで業務プロセスの改革・再構築を行います。

ステップ 1
現状の「業務プロセス(Input → 処理内容 → Output)」と「代表的なタイムスケジュール(年・月・日)と業務負荷」を可視化
ステップ 2
可視化した業務プロセスを分析し、「事業戦略と施設戦略をつなげる視点」、「ファイナンス視点」、「内部統制の視点」、「業務負荷削減の視点」で検討課題を設定
ステップ 3
現在の業務プロセスと対比する形で、解決策(できれば複数)の仮説を構築
ステップ 4
試行運用施設を選定(1~2施設程度)し、KPI(予実差、社員の労務時間等)を共有したうえで、仮説の業務プロセスを試行運用
ステップ 5
本格運用に向けて対象施設数を徐々に拡大
経営のスリム化 3つの観点

【図-1】 施設運営における業務分類

施設運営における業務プロセスを可視化することによって、図-1に示すように業務分類することができます。この内、「自動化・非専門職化できる業務」「社外に委託できる業務」「今後はなくせる業務」は、業務負荷軽減に直結し、軽減分を「これから強化したい業務」「これからも社員が行うべき業務(コア業務)」に配分することが可能となります。既存の業務プロセスの枠内のみで考える「前のめり症」的な対応ではなく、客観的視点からゼロベースで見直すことこそがFacility Dr.のなせる業です。

CREを保有されているお客様の多くは、毎年CREに対する中期予算計画の見直し業務と、中期予算計画に基づく次年度予算化業務を繰り返されています。お客さまと実際に以下の課題設定を行い、BPMによって業務プロセスの改革・再構築を実践し、効果が得られています。

課題1
予算金額の精度向上(ファイナンス視点)
効果1
予算化プロセスをフロントローディング型に見直し予実差を軽減
課題2
社員の業務負荷平準化と、属人的スキルによる業務品質のバラツキ解消(業務負荷削減の視点)
効果2
社員がコア業務に注力できる環境を再構築すると共に、業務プロセスを可視化し、運用マニュアルを策定することで業務品質の平準化を実現
経営のスリム化 3つの観点

【図-2】 予算化プロセスの再構築(例)

最後に繰り返しになりますが、施設運営活動に終わりはなく、事業運営と連携した改革・再構築の繰り返しが求められています。

松浦 裕

山下PMC
事業管理運営本部 本部長
松浦 裕

信州大学大学院工学系研究科システム開発工学修了。プロジェクトのPM/CMから、CRE/PRE戦略にもとづくFM/LCM業務など幅広い領域を担当。
主要資格:工学博士、一級建築士、認定コンストラクションマネジャー、認定ファシリティマネジャー。

※本記事は、「週刊ビル経営」第1072号(2018年10月1日発行)に掲載されました。
発行元であるビル経営研究所の許可を得て、掲載しています。

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