週刊 施設参謀 週刊 施設参謀

経営課題を解決するファシリティ・
CRE戦略マガジン

症例10(最終回):「器用貧乏症」あれもこれもはダメ!設定型課題解決で!

症例10(最終回):「器用貧乏症」あれもこれもはダメ!設定型課題解決で!

当連載も今回が最終回となります。これまで施設運営の深刻な悩みと具体的な対処方法をご紹介してきました。そこでお伝えしたかったポイントをまとめると以下の3点になります。

① 施設戦略を考える場合、事業戦略と財務戦略の「三位一体の視点」が最も重要
② 施設運営における課題は三者三様で、「設定型課題解決のアプローチ」がゴールへの近道
③ 施設建築の健全寿命を延ばすためには、「不具合発生前の予防保全」が重要

1 三位一体の視点

資産の中核を占めるCRE(企業不動産)は、「維持費がかかり続ける固定資産(モノ)」とだけ捉えてしまうと経営負担の一要素になってしまいます。しかし、CREを常に事業運営とつなげて戦略化していくことで、「事業のプラットフォーム(価値の源泉)」となります。

【図1】三位一体の視点

【図1】三位一体の視点

2 設定型課題解決

【図2】設定型課題解決のアプローチ

【図2】設定型課題解決のアプローチ

施設運営における課題は三者三様です。施設運営や収益面は良好な中で、施設建築の劣化対応に課題をお持ちの方、あるいは、収益性向上を第一優先課題とされている方など様々です。いずれの場合でも共通して言えることは、事業運営(経営サイド)の将来像(経営ビジョン)としてあるべき姿と現状とのギャップを正しく認知する必要があります。ギャップを課題とする「設定型課題解決のアプローチ」でものごとを見て、真の課題に対して注力して改善することで、より効果があがります。

3 予防保全

【図3】予防保全のイメージ

【図3】予防保全のイメージ

現在「予防医療」が注目されています。これまでは「病気にならない」「メンタル不調にならない」といった予防医療の実践的な取り組みがないまま、「病気になった人を見つけて治療する」早期発見・早期治療が続けられてきています。結果として病人が増え続け医療費が膨らみ、医療費の自己負担が増える可能性も出てきています。施設建築も同様で、不具合・故障を早期発見・早期改善する、事後保全的な視点が主流です。一方で予防保全は、事故を未然に防ぐと共に故障などによる施設運営に対する影響を出すことなく、修繕や補修に必要な支出を最小限に抑えることが可能です。更に、維持保全費の予算措置も容易となる上、機器の性能低下によるランニングコストの増大を抑制することが可能です。

最後に、現在所有されている施設建築の運営の健全化のための「正しい選択」が出来ているかどうかを問診票にしました。問診結果から、施設運営の健全化に向けて、今から何ができるかを山下PMCの「Facility Dr.」と一緒に考えていきましょう。

【施設運営の事前問診票】

担当者が変わるとやり方も変わってしまう。担当者ごとに業務品質に差がある
予算化した項目と同内容で工事発注したにもかかわらず、予算と実行金額が乖離してしまっている
1年を通じて、業務負荷に波がある(いつも忙しい時期が決まっている)
投資判断材料が不足していると感じることがある(判断不足により予算承認されなかった)
5年前と同じやり方で、同じことをやっている(成長・改善が感じられない)
必要な情報がどこにあるかすぐには分からないし、あったとしても探すのに時間を要する
やることを前提に投資要件をまとめ、なぜ必要なのかと省みることをあまりしない
工事発注時の品質・コストコントロールに不安を感じている
工事コストの妥当性を過去の実例等から判断する以外に術がない
施工者やメーカー等の提案通りに工事を実施している

1~3個:一見、青信号。でも予防のために診断を。
4~7個:黄色信号。喫緊の課題から診断を。
7個以上:赤信号。すぐに診断を。

松浦 裕

山下PMC
事業管理運営本部 本部長
松浦 裕

信州大学大学院工学系研究科システム開発工学修了。プロジェクトのPM/CMから、CRE/PRE戦略にもとづくFM/LCM業務など幅広い領域を担当。
主要資格:工学博士、一級建築士、認定コンストラクションマネジャー、認定ファシリティマネジャー。

※本記事は、「週刊ビル経営」第1092号(2019年3月4日発行)に掲載されました。
発行元であるビル経営研究所の許可を得て、掲載しています。

・記載されている内容は、掲載当時の情報です。予告なく変更する場合もございますので、あらかじめご了承ください。
・記載されている会社名、商品名は、各社の商標、または登録商標です。なお、本文中では™、®マークは基本的に明記していません。