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発注者目線の仕事術

品質のカギ握る所長 適性見極め現場を託す 2

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発注者を巻き込んだチームに

中には餅は餅屋とばかりに、現場はプロに任せておく方がよいという考えの発注者もいるだろう。だが発注者がプロジェクトを大事にしているという熱意が伝わると、現場は期待に応えて良いものをつくろうという気持ちになるものだ。

設計・監理者の立場で現場に入る場合でも、定例会議に発注者側の担当者を加えるなど、常に現場と発注者との接点を設けることを意識したい。発注者を巻き込んで、前倒しでスピーディーな意思決定ができる体制を築くことが肝要だ。

発注者が現場により深く関与すれば、設計変更などの手戻りリスクも減らせる。工事費の増加を伴うような大きな変更は、発注者にとっても避けたい事態のはずだ。

現場とは、所長が指揮者として統括するオーケストラのようなものだ。設計図書という「楽譜」のポイントをよく理解し、現場の構成員や下請け会社の職人という「楽団員」に適切に伝え、総合力を結集させる。そしてそのオーケストラのオーナーであり、一番の観客に当たるのは発注者だと言えるだろう。熱心な観客の厳しい視線と大きな拍手が、現場の潜在能力を引き出し、より良いパフォーマンスに結び付いていく〔図2〕。

現場はオーケストラのごとく

[図2]
現場はオーケストラのごとく
現場とはいわば、所長が総指揮者を務めるオーケストラ。良い現場では現場構成員1 人ひとりが所長の指示に合わせ、統制の取れた見事な動きを見せる。発注者が良き観客として期待をかけ、拍手を送ることは現場の質の向上につながる

折からの人手不足で経験豊富な所長でさえ、馴染みのある職人の確保に苦労している。我々が発注者の代理として、改善を求める場面も多い。現場と上手に付き合い、高水準の建物を仕上げるにはどうすればよいのだろうか。

一般的に施工管理は、「PDCA」に基いて実施する。計画(Plan)、実施(Do)、点検(Check)、処置(Act)の頭文字を取ったもので、業務を動かす基本の概念だ。

PDCAを建設現場に当てはめてみよう。まずは建設会社が現場の運営計画書をつくる(P)。ここには仮設計画書、工事方針書、工程表などが含まれている。これらの実施(D)を随時点検(C)し、もし問題が認められれば改善(A)するというやり方になる〔図3〕。工期全体にかかる大きなものから、1日単位で工程を確認するような小さなものまで、あらゆるフェーズでPDCAは活用できる。

PDCAで行われる施工管理

[図3]
PDCAで行われる施工管理
施工管理は計画(Plan)→ 実施(Do)→ 点検(Check)→ 処置(Act)という流れでなされる。特に重要なのはCとA。実態をきちんと把握し、問題を発見したらそれを解決できることが、良い現場の必須条件だ

前倒しで対策を講じる

職人不足が叫ばれる現状では、良いチームワークづくりだけでは対応しきれない部分も多く、現場に入る前段階での準備の重要性がより高まっている。例えば、プレキャスト材を採用して工場生産の割合を高めたり、工場でのユニット化を進めることで現場搬入後の組み立ての手間を減らしたりといった対策で、人手不足による工期遅れのリスクを軽減できる。こうした工夫については、今後の連載で詳しく紹介する予定だ。

所長の協力の下、建設現場との密な情報共有によって、工程管理が適切に実施されているかをチェックする。そのことが、良い品質の建物をより早く、より安くという発注者の期待に応えることにもつながる。

POINT

  • 所長の力量が現場を左右する。早い段階から協力関係を築いてやる気を引き出す
  • PDCAが施工管理の王道。地道な積み重ねが品質を担保する
  • ●構成・本編イラスト:ぽむ企画  ●企画:納見 健悟
    本記事は、『日経アーキテクチュア』2014年8月25日号に掲載されました。一部内容を改変し、掲載元の許可を得て、掲載しています。

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