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発注者目線の仕事術 発注者目線の仕事術

vol.07品質のカギ握る所長
適性見極め現場を託す

日比生 慶

講師:日比生 慶山下ピー・エム・コンサルタンツ事業管理本部QCDS部部長
1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。実績にJR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木ほか

炭山 数文

講師:炭山 数文山下ピー・エム・コンサルタンツ事業管理本部QCDS部プロジェクトマネジャー
1943年生まれ。大手建設会社で建築系エンジニアとして勤務。大型プロジェクトを中心に参画し、うち3件がBCS賞を受賞。中堅建設会社の技術系役員を経て山下PMC入社。工事計画、工程計画、見積関連業務、施工管理など幅広く担当する

建設現場の生産体制は、建物の品質を大きく左右する。優秀な所長に依頼できれば、プロジェクトの成功率は高まる。所長の人選におけるポイントや、現場との協力体制を構築する勘所を紹介する。
現場の秩序が保たれ、高い品質の建物が確実かつ安全につくられるかどうかは、所長次第と言って過言ではない。
なぜ所長が重要なのか。まず現場所長は一般に、現場を支える職人のキャスティングの一切を任される立場にある。実務経験を重ねてきた現場所長は、多くの腕利き職人と強い信頼関係で結び付いている。こだわりの強い現場では、作業員のみならず警備員まで指名することもあるほどだ。良い人材をどれだけ知っていて、集めることができるかが、良い所長である最初の条件だ。

契約前の面接で見極めよう

とはいえ建設会社も人手不足で、所長クラスの人材が足りていない。最近の建設需要の増加に、現場を取り仕切る役職者が追い付いていないのが現実だ。このような状況では、事前に所長の能力を確認することが重要になってくる。

我々がコンストラクションマネジャーとして発注を進める場合、発注段階で担当予定の所長の実績を提出させたり、面接を実施して人柄を見極めたりする。プロポーザルの評価項目として、所長候補者の資質評価を加える場合もある。

対面時にプロジェクトの理解度や、固有の課題に対してどのような考えを持つかを確かめることで、書類上の情報では分からなかった部分も見えてくるはずだ。例えば現場での品質管理能力は高そうだが、説明能力がやや劣る人物だった場合。承認が煩雑で説明資料を多く求める発注者とは相性が良くない。こうしたミスマッチを防ぐ意味でも、所長の人柄や能力をしっかり確認する機会を、契約前に持ちたい。

良い現場の見分け方

現場の運営においても、所長は最高責任者だ。大きな権限と、それに伴う最終責任を引き受ける。良い現場は、所長を頂点とするピラミッド型の組織形態で規律が保たれている。

統制が取れている現場は、人の動きや資材の配置、ゴミの分別状況1つをとっても、隅々まで配慮が行き届いている。中でも整理整頓は基本かつ重要なポイントだ。ここがいい加減だと、資材の搬入や工事の段取りに影響を及ぼす。見た目の問題だけでなく、思わぬ事故を招く可能性が増えるわけだ。現場の質を見極めるうえでは重要な要素だ〔図1〕。

整理整頓が現場の基本

[図1]
整理整頓が現場の基本
イラストのような現場では、出来上がる建物の品質はおろか、安全の確保も怪しい。優秀な所長が統括する現場では、このようなことはないはずだ

また経験則として、仮設計画をまとめた図面の品質と、完成した建物の品質とは、表裏一体の関係にある。全体仮設図や山留め計画図、揚重計画図など必要な仮設計画図を現場が自ら作成し、分かりやすく表現されていれば、流れるように作業が進んでいく。

反対に、仮設足場の計画などが下請け会社任せで、申請用の最低限の計画書類しか用意していないような場合は要注意。「仮設は予算の都合で手を尽くしていないが、本工事はしっかりやる」と説明する所長もいるが、信用しない方がよい。

人手や資材の不足が大きな課題となっている今、早目に建設会社を決定し、現場所長との協力関係を築きながら、技術的な提案や現場のモチベーションを引き出していくことがより重要になっている。

・株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツは、2018年4月1日に、株式会社山下PMCに社名変更しました。
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