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発注者目線の仕事術

設備更新への目配りが維持費削減のカギ

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講師:松浦 裕 山下ピー・エム・コンサルタンツ事業管理本部LCM 部部長

1972年生まれ。2000年、信州大学大学院工学研究科博士後期課程修了。建設会社の設備エンジニアとして、施工管理や設計、監理業務を経験。現在は開発プロジェクトのPM・CMから、CRE・PRE戦略に基づくFM・LCM業務全般を担当

松浦 裕

講師:嘉門 隆史 同プロジェクトリーダー

1982年生まれ。2007年、京都大学大学院都市環境工学専攻修了。大手インフラ会社で、主に改修工事の基本計画業務、発注業務、設計・施工管理業務を経験。山下PMCに入社後は、設備工事を中心としたPM・CM業務およびFM・LCM業務全般を担当

嘉門 隆史

発注者にとって長期スパンで建物にかかる費用は、計画の初期段階で知っておきたい情報だ。新築時にかかるコストも重要だが、それ以上に、どの時期に設備への再投資が必要となり、いつ更新しなければならないかといった情報は、経営戦略を立てるうえで必須の要素となる。

そのためには、建物にかかる費用を時間軸で提示する必要がある。発注者は新築時だけではなく、運用段階でも建築技術者の知見を強く求めているのだ。

一般に建物の一生にかかる費用(ライフサイクルコスト、LCC)は、建設時に必要な費用の5、6倍と言われている〔図1〕。建設費や土地の取得費、設計費といったイニシャルコストは、建物がある限り発生し続けるコストの一部にすぎない。

計画段階でこうした費用を把握し、対策を意識して設計に盛り込むことで、後々のコストを大きく減らすことができる。いわゆるライフサイクルマネジメント(LCM)の考え方だ。

イニシャルコストはごく一部

[図1]
イニシャルコストはごく一部
土地・建物のイニシャルコストは、運営費や保全費などを含むライフサイクルコストのごく一部にすぎない

「減損会計」が効率化を後押し

施設に対する発注者の考え方は、この20年で大きく変化した。新築時の価値だけでなく、自社の保有資産が現時点でどのような価値をもたらしているのかが、最大の関心事となっている。

日本でLCMが意識され始めたのは、バブル経済崩壊後。景気の停滞により、不動産を所有する事業者は、限られた資金の運用に以前より厳しい目を向けるようになった。

さらに企業のグローバル化を背景に、会計基準を国際標準に近付ける動きが加速した。なかでも事業用固定資産への「減損会計」の導入が、事業者の考え方に大きな影響を及ぼした。固定資産の収益見込みをある期間にわたって算定したうえで、投資額を下回った場合は、その差額を損失として計上しなければならなくなったからだ。そのため発注者は建物の収益性を強く意識し、運用の効率性をより重視するようになった。

・株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツは、2018年4月1日に、株式会社山下PMCに社名変更しました。
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