シェイピング戦略的なニュービジネスの兆し
現在、無数のパートナーを巻き込んで、業界を変えつつあるニュービジネスを紹介する。
[事例1]
子供の幅広い生活シーンをビジネスに!
ミキハウス子育て総研株式会社
同総研は、「55192.com(ゴーゴー育児ドットコム)」のサイトを運営し、一人では解決できない悩みや相談事を、専門家や子育てキャリアをもつ先輩ママ・パパの活躍で解決したり、前向きな気持ちになれるようなコミュニケーション環境を提供および整備している。まさに、子供を持つママ・パパの集まるプラットフォームであり、そのプラットフォームを通じて、情報発信やビジネスを展開している。また、子どもたちが健やかに成長していく住まいを追及し、「子育てにやさしい住まいと環境」として物件を評価認定する事業も行っている。他にも、子育て・医療・エコの情報も取り入れ、子供が健やかに過ごすためのあらゆる生活シーンを想定し、情報提供、情報交換、その中で生まれるビジネス展開を行っている。
取材協力:
ミキハウス子育て総研株式会社
大阪市北区曽根崎新地2-6-12
代表取締役社長 藤田洋氏
[事例2]
健康ビジネスの知識統合からソリューションへ!
株式会社スポルツ
スポルツは健康に関するビジネスにおいて、事業者のプロジェクト事務局を代行することを基本スタンスとしている。健康といってもその範囲は広域で、健康機器、健康食品、ドラッグストア、フィットネス、健康教育、美容、癒し商品など、日常生活を取り巻く、多くのシーンに関係している。スポルツは調査研究、企画開発、プロジェクト運営など幅広く活動し、プロジェクトを成功に導いている。彼らのソリューションの根源となっている一つが、ヘルスビズウォッチというメールマガジンである。掲載した海外ヘルスビズ事例は240を超えている。ヘルスビズウォッチは国内外の健康ビジネス動向を素早くキャッチし、ビジネス現場で活用できるヒント情報と今後必要なビジネステーマ予見情報を発信しているサイトである。スポルツは、豊富な情報と独自の開発力を大きな武器として、ビジネスを成功に導いている。特に、海外健康ビジネス事例を活用した新たな価値創造支援は、他に無いビジネス手法である。また、「ヘルスビズ塾」を開講しており、健康ビジネスにおける「発見と学び」をリアルに展開する場としてセミナーや勉強会、ワークショップを開催している。ヘルスケア事業の究極的な目的は、提供する商品・サービスを対象となる消費者が必要としなくなる状態に導くことで、これは非常にハードルの高い課題である。スポルツは、この課題に対して、ポイントは「継続率」にあると判断し、この「継続率」を高めるための「継続ドライバ」を自ら研究、活用している。スポルツは、“ 健康” という幅の大きい側面から、多くの関係者や情報を巻き込んで、新たなソリューションを実現している企業といえる。まさに、健康という分野のプラットフォームである。まだ、広がり続ける健康ビジネスの分野において、スポルツのプラットフォームは成長し続け、それに賛同した企業とともに成長していくであろう。
取材協力:
株式会社スポルツ
東京都渋谷区宇田川町37番13号 下田ビル3F
代表取締役 大川耕平氏
[事例3]
“スポーツ”をキーワードに新たなビジネス戦略を推進!
株式会社スポーツマーケティングラボラトリー(SPOLABo)
“ スポーツ” は、プロスポーツから始まり、休日に家族で近所の公園で行う運動もあり、また、TV などのメディアを通じての観覧など、その範囲は広い。スポーツは、まさに生活の一部であり、人生を豊かにする重要なファクターである。SPOLABo は、ICT を一つのツールとして、プロスポーツ、スポーツ関連関係者、スポーツファン、草の根スポーツを、有機的につなげ、スポーツ業界全体の発展を推進するプラットフォームはもちろんのこと、人々の幸せや経済の発展を実現する大いなる可能性を秘めた企業と言える。今後の展開として、異種業とのコラボレーションや、医療、福祉分野でのスポーツとの関連構築という点においても大いに期待したいところである。
取材協力:
株式会社スポーツマーケティングラボラトリー
東京都港区北青山1-4-6
代表取締役社長 荒木重雄氏
[事例4]
今後期待される医療技術の可能性!
メディカルツーリズム
近年、韓国、中国をはじめ、アジア圏の富裕層が、検診を兼ねて日本を訪れ、付加的に、日本の観光地を満喫して帰る事例が見られる。メディカル・ツーリズムと呼ばれている。アメリカでのメディカル・ツーリズムの定義は、「治療するために、他の国に出かけること」であり、観光とは必ずしも連携していない。
日本ではまだ、一部マスコミで発表されている程度であるが、国際的には、メディカル・ツーリズム市場は増えている。インターネットの普及、国際交通網の発達の影響は大きいといえる。しかし、日本の病院は、日本人の患者の診療で手一杯で、外国人を診療する必要性も感じていないことや、語学や宗教上の問題や、もしトラブルが起こった場合の対処など、まだまだ問題は多い。また、日本の医療の特徴として、医療は社会保障であり、サービス産業ではないという意識もメディカル・ツーリズムの普及には大きな障害となっている。
そのような状況の中で、メディカル・ツーリズムを成立させるためには、医療を産業と考え、イノベーションによって、病院を含む、日本の医療全般的な改革が必要である。特に、外国では存在するが、日本ではまだ存在していないメディカル・ツーリズム仲介業者(ファシリテイター)の存在は重要といわれている。観光立国の実現と医療の国際化を両輪として、今後発展していく可能性を大いに含んでいる分野であることは間違いない。この分野を牽引していくプラットフォーム組織が現れ、シェイビング戦略として成功に導いてほしい。
取材協力:
国際医療福祉大学大学院院長
開原成允氏