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BEMSによるオフィスの水道光熱費「見える化」のすすめ

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BEMS(Building Energy Management System:ビルエネルギー管理システム)の最大の特徴は、エネルギーに関わるデータが一元化され、「見える化」されることです。ここまではよく言われることですし、ご存じの方も多いでしょう。問題は、その先。「見える化」することによって、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。実は日常の省エネだけではなく、さらに絶大な効果を上げられる使い方もあるのです。

BEMSによる「見える化」が省エネの好循環を生む

BEMSのメリットとしてまず挙げられるのは、「見える化したデータを分析することで、水道光熱費の削減に役立つ」という効果です。

BEMSでは、ビル全体の電気・ガス・水道の使用量から空調機、照明、エレベーターなど建築設備ごとのエネルギー使用状態までが詳細に把握できます。このため、施設管理者がビル内でエネルギー消費量の多い箇所を把握したり、削減目標を策定したりするのに役立ちます。

また、システムによっては、人のいる場所といない場所を検知し、空調や照明を自動制御することで、無駄なエネルギーをカットすることができるものもあります。

さらに、テナントビルの場合、エンドユーザーにエネルギー消費についての「気づき」を促す効果もあります。その気づきが省エネ意識の向上につながり、節電や節水が促進されやすくなるのです。省エネ行動の結果、どのくらいエネルギー消費が削減できたかをフィードバックすることで、さらに省エネのモチベーションが上がる――そんな好循環が期待されます。

エンドユーザーの「気づき」が生まれるのは、BEMSによってエネルギー消費の実態が網羅的に「見える」からです。個別に課金される水道光熱費では見えにくいエネルギー使用量の全体像が示されることで、初めて「こんなにエネルギーを使っていたのか」と自覚するわけです。

BEMSによる「見える化」画面の例

BEMSによる「見える化」画面の例

BEMSでは、表示の仕方を工夫することによって、エンドユーザーにわかりやすく伝えられることもポイントです。例えば、エネルギー使用量が数値ではなくグラフで表示されたり、省エネ達成度がアイコンで示されたり。技術者以外の人でも一目でわかるように表現されていれば、多くのユーザーに興味を持ってもらいやすくなるでしょう。

中央監視システムの更新時などにBEMSを追加する

こうして得られた「気づき」を実際の省エネ行動につなげるうえでは、エンドユーザー自身が設備機器を操作できると、より効果的です。施設管理者が働きかけをしなくても、それぞれのテナントが個別に省エネを進めることができるからです。

例えば、テナントごとに空調のコントローラーを設置したり、個人が手元のパソコンから冷暖房の温度変更を操作できる機能を備えたりすることが考えられます。操作方法をユーザーフレンドリーにアレンジできるのも、BEMSならでは。温度設定を変更するにも、「もっと涼しく」「もっと暖かく」などわかりやすい定性的な表現にアレンジすることも可能です。

既存のビルにBEMSを導入する場合は、中央監視システムに組み込むのが一般的です。ビルの建て替え時や中央監視システムの更新時などの機会に合わせてBEMSを追加し、同時に個別操作ができる機能を追加することを検討するのもよいでしょう。

BEMS導入、じつは設備更新時に意外な効果も

さて、ここまで読んでくださった皆さん、BEMSのメリットをご理解いただけたでしょうか。ひょっとすると、これぐらいで採用に踏み切るのは難しいと思われた方もいらっしゃるかもしれません。でも、BEMSを導入する意義はこれだけではありません。

じつは、BEMSによる「見える化」には、日常の省エネだけではなく、さらに絶大な効果を得られる使い道があるのです。それが、設備更新の際の機器スペックの最適化です。

新築時の設備設計では、ビルの規模や用途に応じて必要な設備容量を想定しています。ただし、これはあくまでも予測値ですから、実際に供用が開始されたときに、機器の使用実態とズレが生じることが少なくありません。結果的にオーバースペックとなり、稼働率が低く非効率な運用になっているケースもあります。

BEMSで機器の使用状況とエネルギー消費量の詳細な記録を分析すれば、設備を更新するときに、実態と合った機器を選定することができます。これによってランニングコストを低減できるようになるのはもちろん、資本的支出(CAPEX)に関しても、過大な投資を回避できます。
(関連記事:ライフサイクルコストを左右する「修繕費」と「資本的支出」の区別

次回は、その実例をご紹介しましょう。

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