プロジェクトストーリー
NBC長崎放送新社屋(中編)
新社屋移転を機に事業と働き方を再検討
いつでも気軽にミーティングができるように配置された椅子やテーブル。Photo:©株式会社オカムラ
長崎の放送局としての財産を受け継いでいくことの大切さ
プロジェクトチームを担当されたお二人が、山下PMCに望んだことは何ですか?
- 白壁
- 計画をただ押し進めるだけでなく、そこに社内の要望や意見を集約していくことも大切です。経営サイドからも、未来の放送を担う若い層の意見も取り入れる方針が示されていました。そこで、移転プロジェクトチームとは別に、若い層を中心とした「70(ナナマル)プロジェクト」チームを編成しました。
- 入江
- 移転直後の開局70周年、そしてこの先のNBCはこうありたい、ということを議論する選抜チームです。そうしたチーム毎で何を話し合い、何を決めるのか、そして何が決まりどんな課題が出てきたのか。それを山下PMCさんに、毎回整理、共有していただきました。議事録だけでなく、今後の宿題も明確になるので、とても効率的でした。
- 白壁
- 放送局は他の業種と比べて特殊な働き方であり、またそれぞれの局にも特徴があります。ですので、若手の意見は尊重しつつも、採用するのが適切なのかどうか、客観的視点で山下PMCさんに判断をアシストしてもらいました。会議を重ねる毎に、次第に施設づくりを理解できるようになり、全体を俯瞰することで、「移転」そのものにも課題があることがわかりました。
- 小野
- 移転計画のために社内に何があるかを調べると、紙を中心にした膨大な資料がありました。ただ捨てるのは簡単ですが、地域の放送局が70年間この地で集めた貴重な資料もある。「必要」「わからない」「捨てる」に分類し、わからないものは5年の保留保存期間を設定しました。
- 白壁
- それが一番苦労した作業でした。捨てると判断したものだけでも1度に約20トン。それ以上に保留抜きで捨てられない資料の多さにも気づきました。長崎の人びとの暮らし、証言、ここにしかない地域の財産です。
- 入江
- 社屋を新しくする。将来を見据えた職場にする。それだけではなく、長崎の放送局としての財産を受け継いでいくことの大切さ。放送局の使命にあらためて気づかされました。一方で「働き方」はガラリと一変しました。以前はテレビとラジオ、さらに制作部門で部屋が分かれ、横の連携が難しい面もありました。新社屋では制作部門を1フロアに集約。壁のない環境で互いの仕事が見え、ちょっとした相談もしやすくなりました。
- 白壁
- 多くの要望や意見は集まりました。しかしその善しあしは、社内基準だけでは判断が難しいのが実情でした。他局の実態や、さまざまな企業の働き方の知見もある山下PMCさんの意見が参考になり、よい結果を得られました。
- 10階フロアから稲佐山を望む。Photo:©株式会社オカムラ
「長崎市民にとって稲佐山は特別な存在。地域の放送を担う責任をあらためて自覚します」(中尾さん) - 新社屋外観。
- 夜間照明が長崎の景色をより一層美しく彩る。
関連する用途
-
放送・メディア
ネット配信等の隆盛やユーザー嗜好の細分化・多様化が進み、新聞・雑誌・テレビ等のトラディショナルメディアも変革の時を迎えています。これまでのメディア経営を主力としたビジネスモデルから脱却しようと新しいマネタイズを試みています。大都市で所有している不動産を活用したCREが活性化しているのはその一例です。