建設市況レポート(22年7月)
今月の建設市況と今後の見通し
雨から曇りに回復中の建設業界?!
コロナウイルスの第7波が訪れ、これまでより明らかに感染者や濃厚接触者が増え、大手を振って外出し辛い状況にまた陥っています。
この状況下、約1ヶ月前の日経新聞(6月27日付)に「主要30業種の天気図」が掲載されていました。
私たちの建設業界は「資機材価格高騰が深刻だが価格転嫁が進み、発注も堅調」で、雨マークから曇りマークに上がっていました。
利益という視点では回復しているとは思えないのですが、確かに発注件数は増えてきている実感があり、おおむね当たっているのかな、と個人的には思います。
その他の業界では、化学・繊維、プラント・造船、電子部品・半導体、旅行・ホテルなどが回復しており、産業・工作機械業界は前回に引き続き晴れの評価でした。
山下PMCをお引き立ていただいているお客さまの多くが上記の業界のいずれかに属しており、世の中的には景気回復に向かっているように思えます。個人の懐具合は別ですが(笑)。
ただし、相変わらず資機材の高騰は続いており、
- セメント:3年7ヶ月ぶりに市中価格が上昇
- 国産合板:1年で2倍となり最高値を更新中
- ALCパネル:10月から15%値上げ
- ガス管:半年ぶりの上昇
などの記事がこの1ヶ月の間に載っており、物価上昇の波は治まっていないようです。
一方で、
- 夏ボーナス:3年ぶりに過去最高を更新
- ニッケル系線材(ステンレスに使用):2%値下げ
- 石炭、鉄鉱石・鉄スクラップ:中国の都市封鎖の影響により2~4割安
といった記事もありました。
特に最後の石炭、鉄鉱石・鉄スクラップの値下がりは建設業界としてはありがたいと思いますが、中国が回復したら上昇に転じる可能性が高い、ともいえるので注視してきたいと思います。
さて、下記に先月のコスト状況(7月初旬発表)をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材は一部を除き、先月に続き、上昇しています。
RC系資材はセメントが上昇傾向に転じています。
建築費指数についてS造、RC造とも先月に引き続き、上昇傾向です。
2.都市間格差の傾向
今回はS造の工場、物流、倉庫をピックアップしています。
東京を100とした場合、北海道の下降率が目立ちますが、
どの都市も前月より上昇しており、東京の上昇率が高い結果です。
低い傾向(90以下)にあるのは変わらずどの用途も「金沢、新潟、高松」の3都市です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
下降
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●セメント バラ 東京
現状維持
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
S造 工場の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 物流の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 倉庫の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京