建設市況レポート(22年5月)
今月の建設市況と今後の見通し
疲弊が見え隠れする現場
世界はコロナとの付き合い方を整理して、コロナ前の勢いに向かう姿勢を見せる中、日本ではグローバルな物価上昇の波に飲み込まれ、加速できない状態が続いているように感じます。
今月もH形鋼が12万円台/トンの高値を付け、原油を使う塩ビ管やポリスチレンなども再値上げし、高騰が止まらない状況です(日経新聞より)。
建設現場においても、上海のロックダウンやウクライナ侵攻によるロシア貿易の滞りもあり、予定通りに物資が調達できない状況が生じ、苦労の絶えない日々が続いています。
不透明な先行きに、ゼネコン側だけでなく発注者側も頭を悩ませており、疲弊感が漂っているプロジェクトも出てきているようです。
プロジェクト関係者の誰にも責任はありませんが、このような困難な状況下でプロジェクトを進めていく場合には、予め物価上昇(下降)に対する取り決めなどを定めておく(話し合っておく)必要があると思います。
我々CM会社として、厳しい時期に万能な解決策をご提示することは難しいですが、プロジェクト毎に真摯に向き合い、打開策もしくは落とし所を見出すべくみなさまとともに頑張っていきたいと思います。
さて、下記に先月のコスト状況(5月初旬発表)をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材は一部を除き、先月に続き上昇しています。
RC系資材は先月に引き続き横ばいです。
建築費指数についてS造、RC造とも上昇傾向に転じました。
2.都市間格差の傾向
今回はS造のオフィス、ホテル、店舗をピックアップしています。
大きな変化は見られません。
低い傾向(90以下)にあるのはこれまでと変わらずどの用途も「金沢、新潟、高松」の3都市です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
現状維持
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
S造 オフィスの建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 ホテルの建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 店舗の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京