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週刊 施設参謀

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症例9:「右にならえ症」まず自分の現状に合った解決策を見つけましょう

症例9:「右にならえ症」まず自分の現状に合った解決策を見つけましょう

これまで、施設の資産価値を高めるためのアイディアについて、色々と紹介させて頂きましたが、今回は自らの現状を考え、その現状に合う解決を図った事例をご紹介します。どの事例も、自らの保有資産の状態に合わせた改善策をしっかりと考え、実行しています。あなたは、右にならえで失敗してはいませんか。

まず一つ目は、複数の施設を運営する仕組みをより効率化し、より費用を削減した事例です。本事例は、施設運営会社、施設管理会社、設計会社、施工会社といったステークホルダーの役割分担が明確になっておらず、非効率な部分がありました。そこで、以下の3点の施策を実施し、施設運営の効率化および費用削減を図りました。

①各ステークホルダーの役割分担・業務フローの可視化
②長期修繕計画の作成
③適切な投資判断

各ステークホルダーの役割を改めて整理した上で、業務フローを見える化するだけでも、各者の役割や業務フローが可視化され、劇的に施設運営が改善されます(図1)。後は、施設に対する投資を最適化するために、長期修繕計画を作成し、的確な投資判断を行うことが重要となります。良く工事の見積書を査定し、工事費削減を図っている事例を耳にしますが、そもそも工事をやるべきなのか、やらなくても良いのではないかといった投資判断も含めて、適切な投資判断を行うことが重要になります。

【図1】各ステークホルダーの役割分担・業務フローの可視化

二つ目は、収益向上に主眼を置いた事例です。元々、スポーツ用途が入っていた施設が、テナント入れ替えを重ねることで、用途構成にばらつきが出て、収益が下降状態にありました。そこで、以下の3点の施策を実施し、収益向上を図った事例です。

①施設コンセプトの見直し
②適切な投資判断
③立地エリアへの波及効果の検討


【図2】コンセプトの重要性

既存施設の収益向上を図る際に、施設コンセプトを見直すことは非常に重要です。施設がそもそも備えているポテンシャル(立地エリアでの独自性や優位性など)を改めて考え、ポテンシャルを活かし、収益を上げるためのアイディアをコンセプトという形に落とし込むことで、収益向上の施策の方向性が具体化されていきます(図2)。コンセプトがまとまれば、それを実現するために投資が必要になることが多いので、投資判断を十分に検討した上で進めていくのが良いでしょう。なお、コンセプトを検討する際に、施設自体の収益向上だけでなく、立地エリアへの波及効果を考えることも重要です。(本事例では住宅地かつ子育て世代が増加している地域に立地していたため、子育て用途の導入を検討しました)。 

一つ目の事例は施設運営や収益面は良好な中で、施設劣化への対応に課題があることから、課題に合った対策を講じた事例で、二つ目の事例は収益面の課題の抜本的改善を図った事例でした。これら施設がそれぞれ抱えている課題を適切に設定し、施設の現状(立地、収支、劣化状況)といった状況を見極め、それぞれに合った対策を考えることが重要なのです。

嘉門 隆史

山下PMC
事業管理運営本部 プロジェクトマネジャー
嘉門 隆史

京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻修士課程修了。大手事業会社勤務を経て、2011年12月に入社。新規開発プロジェクトにおけるPM/CMから、CRE/PRE戦略にもとづくFM/LCM(ライフサイクルマネジメント)業務等幅広い領域の総合マネジメント業務を展開。
主要資格:一級建築士、認定コンストラクションマネジャー、認定ファシリティマネジャー、エネルギー管理士

※本記事は、「週刊ビル経営」第1088号(2019年2月4日発行)に掲載されました。
発行元であるビル経営研究所の許可を得て、掲載しています。

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