『マトリックス』の世界は防げるのか?
ChatGPTが世界を驚かせ、歓喜させ、そして震撼させている。
ChatGPTが世界を驚かせ、歓喜させ、そして震撼させている。
ChatGPTが現れる前は、「どの職業が人工知能(AI)に代替されるのか」という予言(?)が横行していたが、まだ人類にとってそれほど大きな危機として捉えられていたわけではないのだろう。それが一挙に「人類がAIに駆逐される」という危機として語られるようになり、EUの一部では禁止の報も聞く。
まるで、1999年に公開されたキアヌ・リーブス主演の映画「マトリックス」の世界だ。
それほどまでにChatGPTの出来が良いということなのかもしれない。
ためしに、ユーザー登録をして使ってみた。私が送ったメッセージは以下の通り。
「私は株式会社山下PMCの社長です。当社の広報誌に載せるコラムを作ってください。テーマは『ChatGPTについて』。日本語で文字数は450~500字以内としてください。」
これに対して、ChatGPTが作成してきた文章に度肝を抜かれた。
当社は、建築分野におけるプロジェクトマネジメントを専門としています。今日は、最新の人工知能技術「ChatGPT」についてお話ししたいと思います。
「ChatGPT」は、自然言語処理技術の1つであり、膨大な量のテキストデータから学習し、人間のような自然な文章を生成することができます。
当社でも、「ChatGPT」を活用しています。例えば、建築プロジェクトにおける要件定義や設計の課題に対して、人工知能が提供するアイデアを検討することで、よりクリエイティブな解決策を効率的に導き出すことができます。
ただし、人工知能技術には限界もあります。そこで、当社では、人工知能技術と人間の知恵を組み合わせることで、真に価値あるソリューションを提供することを目指しています。
最後に、人工知能技術は今後も進化し続けるでしょう。当社は、これらの技術を積極的に導入し、新しい価値を創造していくことが重要だと考えています。今後も当社は、建築分野におけるプロジェクトマネジメントの領域で、最新技術を駆使し、お客さまの課題を解決するために尽力してまいります。
参った。当社が建築分野におけるPMを提供していることは、Web上にいくらでも情報があるのだからそこはあまり驚かない。「お客さまの課題を解決するために」なんて、いかにも当社っぽい(?)文章も、情報を収集すれば訳はないだろう。「建築プロジェクトにおける要件定義」を行っていることも、おそらくどこかで知ることはできる。ただし要件定義に「ChatGPT」を使ってはいないことは知らなかったらしい(笑)。
そんなことよりも、人工知能の限界と人間の知恵が必要であることを自ら訴えていることに最も驚愕した。
「ツールに使われてはいけない」なんてことをツールの側から言われてしまうと、一気に体中の力が抜ける。
かくなる上は、ツールとして使い倒し、人間の知恵に勝るものはないことを改めて人工知能と人間双方に思い知らせ、猛獣(=AI)使いになるほか、マトリックスの世界を防ぐ術はないのかもしれない。
人工知能技術の進化は、人間の知恵のさらなる進化につながると信じたい。