建設市況レポート(21年5月)
今月の建設市況と今後の見通し
軒並み値上げ模様
すでにコロナ禍を克服した国、また、コロナ対策と経済活動の両輪を回している国もあり、グローバル経済は復調傾向にあるようです。
日経新聞(5月18日付け)では「景気に敏感な日経17種が12年ぶりに高水準。すず、銅、鋼材を用いる製造業の復調を映す」との見出しがありました。
コロナ禍の影響を受けた在宅勤務や巣ごもりで世界的に通信機器や家電製品の消費が増え、部品に使うすずや銅が高騰しています。
また、「自動車生産など製造業の復調も背景に素材高がけん引している」とのことです。
消費者の立場として、個人的には実感がわきませんが、じわじわと浸透してくるのかもしれませんね。
それを裏付けるかのように、今月も値上げの記事がいくつかありました。
・ベンゼン(合成樹脂などの原料)が4年3か月ぶりに高値
・鋼材全品種大幅値上げ→東京製鉄
・H形鋼1万円値上げ→日本製鉄
・薄鋼板を用いるガス管が2年2か月ぶりに上昇
・熱延コイル(自動車や家電に使用)12年半ぶりに高値
・鉄鉱石も前年同期の2倍以上の最高値圏等など
高値になることで売上につながる業界もあれば、そうではない業界もあるので、見極めをしながら情報を扱っていかないといけませんね。
さて、下記に先月のコスト状況(5月初旬発表)をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材について、先月は横ばいとなっていましたが、今月は再度、上昇に転じています。
RC系資材は横ばいです。
建築費指数は先月に引き続き、S造、RC造とも上昇傾向です。(3か月連続)
2.都市間格差の傾向
今回はS造のオフィス、ホテル、店舗をピックアップしています。
東京の上昇率が高かったため、一部の都市で下降傾向が目立ちます。
その他、低い傾向(90以下)にあるのはこれまでと変わらずどの用途も「金沢、新潟、高松」の3都市です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
- ●セメント バラ 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
S造 オフィスの建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 ホテルの建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 店舗の建築費都市間格差指数の推移
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京