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気が進まない仕事を任された…どうすれば面白くなるの?(1)

木下雅幸の3分間マネジメント気が進まない仕事を任された…どうすれば面白くなるの?(1)

新規プロジェクトを任されたタスクくん。しかし、どうも気乗りしないようです。原因は、そのプロジェクトが会社の将来を支える重要案件には思えないから。まだまだ発展途上のタスクくんに、キノシタが贈る叱咤激励とは……?

キノシタ
建築のプロジェクトマネジメントに特化したコンサルティング会社の、こう見えてもトップコンサルタント。
タスクくん
キノシタも所属する草野球チームで4番でサードを守るチームの主力選手。菓子メーカーに勤務する35歳の中堅ビジネスパーソン。
キノシタ
どうしたの? また浮かない顔して。
タスクくん
ウチの会社が今度「せんべい」を手がけようということになったんです。チョコレート主力で長年やってきて、ウチのコアな事業領域はずっとチョコレートなのに、いきなりせんべい市場を調査しろと言われて……。
キノシタ
おやおや。せんべいじゃ、もの足りないってこと?
タスクくん
そうは言いませんが、でも市場規模はチョコレートの10分の1しかなく、中小・零細がひしめく古い業界で、ボクにはピンとくるものが見当たりません。社命だからしかたなく、いままでつき合いのなかったせんべいメーカーを訪ね歩いているんですよ。
キノシタ
キミももう、上から言われたことだけやっていればいい歳でもないはずだぜ。仕事の面白さを見つけるのも能力の一部だと思うよ。

長い時間軸で見れば、その仕事はまったく違ったものに見える

ほぼ10年前に出会ったタスクくんは、まだ学校出たての初々しいフレッシュマンでした。そのかれもそろそろ中堅社員の仲間入りです。入社当初と現在では、見える景色もずいぶん違うでしょう。しかし、今日のタスクくんの様子には不満が残ります。

与えられた仕事をどうとらえるかは本人次第。なんかめんどくさいなと思ったら、“やらされ感”はマックスになってしまいます。この10年、タスクくんは上司から言われたことをきちんとこなしてきました。しかし、仕事を自分のものととらえる習慣がまだ身についていないようです。

会社だって、単なる思いつきでむちゃぶりしたわけではないでしょう。高齢社会が進む日本なら、ひょっとしたらせんべいの市場が盛り上がるかもしれない。その程度の想像力は働かせたいものです。

たとえば「小さな市場だからやる気がしない」ならば、大きな市場に変えてしまえばいいと発想を転換してみる。するとその仕事はまったく違った風に見えてきます。

3年で新製品を市場に投入、5年後には定番商品の地位を確立。10年後にはシェア20%と、未来のスケジュールを立てます。すると、いまやるべきこと、5年後、10年後にやるべきことが見えてきます。周りの人間も巻き込んでいく必要があり、若い後輩には何を手伝わそうか、上司の役回りは……などと、イメージは広がっていきます。

あるいは、せんべい屋を訪ね歩けば、長年せんべいを焼き続けてきた一流の職人さんに知己を得ることができるかもしれない。その人脈が将来、タスクくんの財産になるかもしれません。

目の前の仕事がピンとこなかったら、時間軸を長くとってその仕事がどう見えるか、考えてみるといい。仕事のボリューム感や課題が立体的に見えてくるようになります。

自分はその仕事にどんな意味を与えるか、仕事ができる人間はかならずそこを考え抜きます。もっと言えば、リーダーとして部下を引っ張っていくために必要な才能は、じつはその仕事の「意味」を考えるところにあるのです。

やらされ感だけの仕事では、そのような発想すら浮かびません。仕事を面白くするのもつまらなくするのも、自分自身なのです。

取材・文:陣内一徳

木下雅幸郎

株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツ
取締役 常務執行役員 / CIO(イノベーション推進責任者)
木下雅幸

1968年、茨城県水戸市生まれ。
神戸大学大学院工学研究科建築学専攻修了。建築設計事務所大手の山下設計で超高層オフィスビルなどの大型プロジェクトの設計を手掛ける。その後、三井生命保険の不動産部不動産投資グループで数多くの投資ビル全体のCRE戦略の構築やアセットマネジメント全般に従事。2010年に山下PMCに入社し、多数のプロジェクトに関わる。現在は取締役 常務執行役員 / CIO(イノベーション推進責任者)の立場で、クライアントの参謀として未来を描き・実現するビジネスモデル創出型のサービスを展開。
プレゼンテーションの勝率9割の実績を持つ、山下PMCのトップコンサルタント。 主な受賞に、グッドデザイン賞、日本コンストラクションマネジメント協会CM選奨ほか。