それ、私の仕事じゃありません!理不尽な依頼はどう断ればいい?
木下雅幸の3分間マネジメント それ、私の仕事じゃありません!理不尽な依頼はどう断ればいい?
家電メーカーに勤務するユウカさんは草野球チームの紅一点、スコアラー兼マネージャーを務めています。何事もきちんとしていないと気が済まない性分で、仕事を任せるとパーフェクトにこなしますが、融通の利かない側面も。そんな彼女が会社の不満をキノシタにぶつけています。
- キノシタ
- 建築のプロジェクトマネジメントに特化したコンサルティング会社の、こう見えてもトップコンサルタント。
- ユウカさん
- 大手家電メーカーの経営企画部に勤務する29歳のマネジャー候補。職場でも草野球チームでも与えられた仕事はきっちりとこなす。

ユウカさん

キノシタ
なるほど。仕事を出す側はちゃんと考えてから出さなきゃね。でもさ、仕事を断るのって、けっこうむずかしいんだよ。ユウカちゃんはハッキリものを言うタイプだから、上司の人もそのとおりだと思っても、なんかカチンと来ちゃったんじゃない?

ユウカさん
キノシタさん! 私が悪いとおっしゃるんですか(怒×2)。

キノシタ
いや、いやそうではなく、断り方にもテクニックがあるんじゃないかと……(汗)。

ユウカさん
ではそのテクニックとやら、教えてください(憤)。
否定で返すのではなく、問題の解決策を提案すべし
自分の仕事ではないのに、「やっておいて」と言われる。そんなとき「それは私の仕事ではありません」とハッキリ言ってしまうと、ユウカさんの例に限らず、往々にして相手との関係性は悪くなります。否定で応えれば否定が返ってくる。それが人間の心理のようです。
では、私ならどうするか。
「ああその件なら、営業部の○○さんが適任のような気がしますので、相談してみていいですか」
否定するのではなく、問題の解決策を提示するのです。上司は、なるほど営業部がやるべき仕事だなと気がついてくれるかもしれません。
ある課題を最善の方法で解決すべきという点では、上司も自分も同じ立場にあります。考えるべきは「誰が仕事をするか」ではなく、「最適な仕事・パフォーマンスのために何が可能か」です。
多くのクライアントとともに長年仕事をしていますと、常に似たような局面にぶつかります。
「こんな資料が欲しいんだけど……」と得意先が言ったとします。これに対して「契約にその仕事は含まれません」と応えたら、心象はよくないでしょう。
また、リクエストのたびに「そのために時間と費用がこれくらいかかります」などと応えていても、やはり印象はよくありません。相手は単なる思いつきで言っている場合すらあるのです。
欧米の契約社会では当たり前のことが、いまだ日本では当たり前じゃないとも言えます。あと100年経ったらわかりませんが。
とすれば、私なら「インターネット上にある情報と手元の資料で、簡単な資料なら1〜2日でつくれます。その程度でいいですか」と解決策を提示します。
また、頼まれたことが本当に私の仕事とかけ離れている場合は、「その件について得意な人はいるでしょうから、探してみましょうか」と応えます。
決してゼロ回答はせず、次につながる提案をして相手の回答を待つようにするのです。
もちろん、新しい資料づくりが元々の契約にはない作業であることは相手にわかってもらう必要があります。信頼関係が構築できた相手であれば、リクエストに応える活動のすべてが、ビジネスの範囲内にあることは当然わかっていただけるはずです。
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このあいだ上司からある書類づくりを頼まれたんです。でもその書類は、役割分担から言えば、経営企画部がつくるべき書類ではなかった。そこで「営業部がするべきじゃないですか」って言ったら、「なんだ、仕事したくないのか」って。もう頭に来ちゃって(怒)。