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期限どおりに提出したのになぜ怒られる?納得がいかない…

木下雅幸の3分間マネジメント期限どおりに提出したのになぜ怒られる?納得がいかない…

広告代理店に勤める25歳のコウタくんは、ピッチャーを任されるチームの大黒柱。会社でも仕事をバリバリこなし、上司からも信頼されています。そんな彼がなぜだか今日は心落ち着かない様子。心配したキノシタが声をかけてみました。

キノシタ
建築のプロジェクトマネジメントに特化したコンサルティング会社の、こう見えてもトップコンサルタント。
コウタくん
勤務する広告代理店では駆け出しの営業マン。学生時代から野球部で活躍し、いまは職場でハードワーカー。
キノシタ
コウタくんどうしたの? 球が荒れてるねえ。
コウタくん
ああ、すみません……。昨日、上司に怒られましてね。約束どおりにプレゼンテーション用の企画書を作成して提出したのに、「遅い」って怒鳴られて。意味わかんないっすよ。
キノシタ
なるほどね。コウタくんは予定どおりに企画書を提出した。しかし、上司はまったく予定どおりではないと考えた。なんでそんなことが起こるんだろうね。
コウタくん
こっちが聞きたいです。ボクのつくった企画書に不備があるとは思えませんし。
キノシタ
まあ、コウタくんのところは忙しい会社だと聞いているし、お互いが言葉足らずのところもあったのじゃないかな。

スケジューリングは「他人の作業」を考えるべし

明日がプレゼンテーション当日であれば、今日中に企画書を上司に渡せばいい。コウタくんはそう考えました。ところが上司は、コウタくんの書いた企画書に手を入れるためには1日くらい余裕が欲しいと考えていた──事の真相は単純な行き違いにありました。

コウタくんは、上司が企画書に手を入れる時間をあらかじめ見ておく必要があった。上司は、「○日までに企画書を上げてくれ」と時間を切って指示しておけばよかった、ということになります。

このようにコウタくんと上司の間にはスケジュールについて認識の相違があったわけですが、そもそもこうした問題は、「上司と部下では見えている世界が違う」というところに原因があります。

会社を代表するプレゼンテーションを任されている上司は、責任者としてそのプロジェクトに挑んでいます。コウタくんは努力家で与えられた仕事は常にパーフェクトでこなそうと努めておりますが、彼が任されている仕事は全体プロジェクトのごく一部に限られます。

立場の違いは、認識のギャップを生み出します。いくら部分最適を積み重ねても全体最適にはならない、とよく言われますが、コウタくんが書き上げた書類は、上司の全体最適によって修正が加えられ、完成します。

コウタくんは企画書の提出がゴールだと思っていましたが、本当のゴールはあくまでクライアントに最良のプレゼンテーションをすること。

そのことに思い至れば、コウタくんも「自分が企画書を提出した時点から上司の仕事がスタートする」ことに気がつけたかもしれません。

たとえ自分の役割が部分的であっても、スケジュールを組むときは、プロジェクト全体のゴールを意識して、他の関係者に発生する作業を考慮に入れる。それが、チームとして仕事をする基本姿勢なのです。

取材・文:陣内一徳

木下雅幸郎

株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツ
取締役 常務執行役員 / CIO(イノベーション推進責任者)
木下雅幸

1968年、茨城県水戸市生まれ。
神戸大学大学院工学研究科建築学専攻修了。建築設計事務所大手の山下設計で超高層オフィスビルなどの大型プロジェクトの設計を手掛ける。その後、三井生命保険の不動産部不動産投資グループで数多くの投資ビル全体のCRE戦略の構築やアセットマネジメント全般に従事。2010年に山下PMCに入社し、多数のプロジェクトに関わる。現在は取締役 常務執行役員 / CIO(イノベーション推進責任者)の立場で、クライアントの参謀として未来を描き・実現するビジネスモデル創出型のサービスを展開。
プレゼンテーションの勝率9割の実績を持つ、山下PMCのトップコンサルタント。 主な受賞に、グッドデザイン賞、日本コンストラクションマネジメント協会CM選奨ほか。