The Report #09 第4次産業革命期におけるデータセンター整備
前回は半導体をテーマにお伝えしましたが、半導体の生産施設と同じく、データセンターも建設ラッシュが続いています。そこで、今回のThe Reportは、データセンター建設プロジェクトを推進するプロジェクト統括本部 事業推進第二部門 4部の部長 日比生 慶がお届けします。
AIの発展・データセンターに対するニーズ
先日、今年のノーベル賞の受賞者が発表されましたが、ノーベル物理学賞とノーベル化学賞を受賞されたのは、人工知能(AI)関連分野の研究者の方々でした。AIが科学の発展を加速し、さまざまな技術革新を生み、社会的なインパクトをもたらし、人々の生活を大きく変える可能性が評価されて受賞に至ったものと思います。
生成AIを含めたAIの発展により私たちの暮らしがより便利なものになっていくことに個人的にも大いに期待しています。
このAIの活用に欠かせないのが高性能のサーバーであり、そのサーバーを大量に運用できるデータセンター(DC)です。
DCとは、サーバーやネットワーク機器の設置・運用・保管に特化した建物であり、データの蓄積・処理を行う拠点となります。
第4次産業革命期にあると言われる今日、さまざまな情報がデータ化され、ビッグデータとして解析・利用することにより、新たな付加価値が生まれています。自動車の自動運転、遠隔医療等、デジタル社会の進展に伴いさらに大量なデータ処理が必要となり、より高性能なDCが求められています。
データセンター整備における電力問題
今後も建設需要が多く見込まれるDCですが、整備にあたって、さまざまな検討課題があり、中でも大きな課題となるのが電力確保です。多数の高性能サーバーを常時安定稼働させるためには、大量の電力を24時間・365日供給し続けなければなりません。そのために特別高圧受変電設備等を設置することになりますが、設置には事前協議を含めて数年の時間を要するため、DC整備にはその時間軸も見込む必要があります。
現在、国内のDCの8割強は、東京圏・大阪圏に集中して設置されている状況ですが、2021年6月に閣議決定された成長戦略実行計画において示されたように、DCの最適配置が推進され、再生可能エネルギー・グリーンエネルギーのポテンシャルが高い北海道、九州においてDCの整備計画が進んでいるのも、カーボンニュートラル化を目指す上でももちろん、電力の地産地消といった側面からも歓迎されているものと思います。
データセンター整備の計画検討
山下PMCではDC事業者の敷地選定を支援するフェーズ(計画候補地にどのようなサイズ・ボリュームのDCを計画可能か?をスタディ・検討する)から、DCの設計者や施工者を選定し、データセンター竣工までの設計~工事施工フェーズにおけるマネジメントまで、さまざまなサービスを提供しています。
DC整備の計画手順としては、まずどういった用途のDCかを明確にし、その用途に応じた条件を整理します。条件には、事業性に影響を与えるもの、PUE(Power Usage Effectiveness)目標や環境に関するもの、信頼性に関するもの等があります。この条件整理をもとに図面を作成するのですが、敷地や建物形状による制約、スケジュール的な制約、コスト的な制約を整理しながら図面化します。
どういった冷却システムによりサーバーから発生する熱を処理するかによっても建築計画・設備計画が大きく変わるため、技術革新にアンテナを張っておく必要があります。
さまざまな社会課題の解決に寄与するAI、第4次産業革命期におけるデータセンター整備、日本の未来に向けて、日本の成長に不可欠なデジタルインフラ整備を支援していきたいと思います。
と、ここまできてAIにこのレポート作成もお願いすればよかったことに気付きました…。 そういう時代ですね。
次回の「The Report」は、山下PMC 鈴木 太郎がお届けします。