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「ES CON FIELD HOKKAIDO」(北海道ボールパークFビレッジ)(中編)

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境界線を透過させる

Fビレッジの全体像を表したパースでは、パークの中でアクティビティに興じたり、くつろいだりする姿が描かれている。
©株式会社ファイターズスポーツ&エンターテイメント

野球が好きな人たちでスタジアムをつくるのもいいけど、まずは近くに来てもらうことが大事。競技を超越して考えたほうがいい

木下
もう一つ特徴的なのは、施設内で営業する数十もの事業者をすべて自分たちで集め、プレイヤーがみんな本気でやっている点。120パーセントの力を引き出す力は怖いぐらいすごいなと。
前沢
そのパワーを引き出したのは、三谷や小川。実は、私は試合日以外の土日に飲食の営業をすることに懸念を持っていました。事業者さんにダメージを与えたくなかったから。でも、ふたを開けてみたら、試合がない土日に約1万人の方にご来場いただき、結果は「やってよかった」。特にこの施設が形になり始めた頃から保守的になったと自覚しています。
木下
それは情みたいなものじゃないですか? でも、私は最初から前沢さんには、そういった周囲への配慮や心配といった情を感じていました。それが誕生間もない「ES CON FIELD HOKKAIDO」や周囲の人びとへの可愛さのあまり前面に出てきたのでは?
前沢
自分の変化を客観的に予測していたので、意識して若い世代を入れていました。このプロジェクトには大きく2つの区切りがあります。一つは2023年の開業。そしてもう一つが、2027年に予定されている、敷地に隣接するJR北海道の新駅完成です。これからは、その新たなステージへと向かう局面への準備も進めていかなければいけない。その未来へのチャレンジは、小川たち次世代が中心になって進めていく。
小川
「球場を核にしたまちづくり」を超えるのがこれからの挑戦。スタジアムは確かにまちの起点ですが、同時に起爆剤として機能させたい。野球の興行、球団の経営、関連事業者のビジネスの安定。その軸を確かなものにしながらさらに周囲・地域との連携もつくる。何ができるのか、どんな可能性があるのか、駅だけじゃなく何が必要なのか。それをいろいろな人が集まり、考え、一緒に挑戦する。シナジーから無限の可能性が生まれると考えています。

スポーツのまちづくりに存在する盲点

前沢
素晴らしいスポーツ施設をつくって、まちづくりに寄与する。この分かりやすい言葉には、間がぽっかり抜けています。その空洞が実は境界線となってしまい、施設づくりもまちづくりも両方ともうまくいかなくなってしまう。この境界線をどこまで透過できるかが重要です。
小川
その空洞を埋めるものを「球場プラスアルファ」の可能性として、ここでは体現し始めているのだと思います。
三谷
施主の自己顕示欲も壁をつくります。私たちは「共同創造空間」のプラットフォーマーでいい。
木下
今回、読者が一番注目するのは、その「境界線を透過させる」という言葉かもしれません。それは設計やハードだけでなく、対人間においても実践されていますね。
鈴木
一番感じたのは、施主と依頼された事業者という関係がすぐになくなったこと。メールのやり取りも様からさん宛てになり、同じウエアを支給され、来場者から見れば「ファイターズの人」です。気づいたら、あらゆる情報が包み隠さず共有されていました。
前沢
「イケてない企業」というのは情報を隠したがる。私たちは、鈴木さんにも松本さんにもすべて伝えます。だって、そこが食い違ったら何も相談できない。
小川
私から見ても、前沢と三谷、二人の腹の割り方、出し方は絶妙です。私の前職は商社だったので、人間関係をコントロールすることを意識しがち。でもここでは、バッと広げて、あれ違うぞとなったらすぐに軌道修正する。プロセスも共有し、一緒にコミットする。個人対個人でも会社対会社でも同じです。
木下
最初から最後まで情報が公開されたことで、勘違いをしないから間違いがない。我々はもちろん、設計・施工会社もやりやすかったと思います。
鈴木
背景が分かるし、考え方のプロセスも分かる。「だからこうか」が共有されるので「じゃあこうしよう」の目線が一致しました。
  • 前沢さん、三谷さんが中心に、たくさんのやりたいことを棚卸しして、絞り込んでいった。当初から、従来型の野球観戦場ではなく、ファン・地元住民・道外の人たちのそれぞれの楽しみ方をかなえるパークを目指していた。
  • 誰でも自由に過ごすことができる開放的な空間『F PLAY FIELD』。ボール遊びをしたり、親子でゆったりくつろいだり、思い思いに過ごしていただける憩いの場。周辺にはさまざまな遊具も 配置。幅広い年齢層の子どもが楽しむ、あそびの要素がたくさん詰まっている。

プロジェクトに関わったマネジャー

関連する用途

  • スポーツ・エンターテイメント

    これからの街が、より良い街であり続けるためには、市民に選ばれる魅力が必要不可欠です。今、その有力な魅力となりうるものにスポーツやエンターテインメントがあります。にぎわいのある街となるための在り方とは?スタジアム、アリーナの事業収益が成立するための工夫とは?日本の未来を力強くドライブする、しかし誰も答えを創れていないソリューションが、強く求められています。

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