プロジェクトストーリー
日本リーテック総合研修センター[ゆめみ野学園] 線路、踏切、トンネル……現場と同じ環境で若者世代が充実した研修生活を送れる施設を(後編)
印象的な吹き抜けと快適な居住性
―建物に入ると、吹き抜けがあり開放感があります。
- 池上
- 設計者の発案で天井は送電線の懸垂曲線をイメージし、橋梁の技術を使って施工しました。土木と建築の技術が融合した、日本初の事例です。とてもシンボリックで日本リーテックならではの建物です。
ラーニングアトリウム(三層吹き抜け空間)。
撮影:野田東徳
- 船木
- 当社の“顔”となるようなデザインですし、全体の雰囲気もいい。床に描かれたラインをはじめとして随所に、鉄道、道路、送電性線などのモチーフが使われており、当社のカラー、コンセプトがよく盛り込まれています。
- 坂本
- 当社の経営計画の柱のひとつである「“人を育て 人を大切にする” 人間企業NR(日本リーテック)の実現を目指す」という思いが随所に活かされていると感じます。
- 船木
- プライバシーを考慮した研修生の部屋、講師の部屋、浴場、食堂、自習室など。議論を重ねて、相応しい品質のものを最適なコストで実現できるよう丁寧に決めていきました。
研修施設や宿泊関連施設などが、フロアー毎に明確に分けられている。各部屋は記号で明記。床や壁などには目的の部屋まで辿るルートが付されている。研修施設内のサインデザインは、日本サインデザイン協会「第52回SDA Award 2018(日本サインデザイン賞 銀賞)」を受賞(デザイン担当は、エモーショナル・スペース・デザイン)。撮影:野田東徳
社会インフラを守る仕事は時に孤独。だからこそコミュニケーションが大切
―実際に運用するなかでの感想をお願いします。
- 坂本
- 新しい研修所ができることからソフト面では教育研修体系を全社で見直し、新しいキャリアデベロップメントプランを制定しました。これまでは開催場所も考慮し部門毎に行っていた研修を研修目的、内容が同じであれば、対象者全員をひとつの研修として実施
することとしました。これにより社員にとっても、技術的、人間的に横のつながりができたことは大変大きいことです。よい環境で研修生を迎えることができ、評判も上々です。
- 船木
- コミュニケーションスペースもあり、研修生同士、会話も弾んでいるようです。
- 坂本
- 私たちの仕事は、夜間作業が中心であり、工事責任者として多くの作業者の安全を確保し業務の指揮を執るため、作業時間中は神経を張り詰めた状況となります。全責任をひとりで負っている思いから、時には孤独を感じながら仕事をしています。だからこそ、研修を通じてそんな気持ちを語れる仲間とつながることに大きな意味があります。また、同じ経験を経てきた私たち講師が悩みをフォローしてあげることが大切です。
- 船木
- 新人研修だけでなく、2年目、3年目も研修があり、同期の社員がセンターに集まります。今まで部門毎に分かれて別の場所で研修していたものが、ひとつになることで、横のつながりが生まれる。それはこの研修施設の目的でもありました。
- 坂本
- 専門が異なる社員同士で、お互いに社会インフラを支えているという共通点について話し合うことが、本人の成長や仕事のモチベーション維持向上になるはずです。
- 船木
- 横のつながりができることで、今後は鉄道と道路などの部門間が融合するような仕事も生まれてくるでしょう。それが企業としての成長に欠かせない要素になるはずです。
ラウンジは明るく広々としたスペース。撮影:野田東徳。
- 池上
- このプロジェクトで何より驚いたのは、社員の皆さんの技術魂です。部門毎に分かれていたとはいえ「社会インフラを根底から支える」という共通の意識で強くつながっています。
- 坂本
- 互いの技術を見て、仕事内容を把握することで、多くの交流が生まれるでしょう。すべての部門がひとつにまとまって実行していくことに、将来的には大きな意味があると感じています。
- 船木
- 社員の気持ちも変わってきました。仲間意識が生まれ、仕事の精度が上がっています。個人、チーム、部門、そして会社全体が現中期経営計画のタイトルにもなっている「Next Stage」へステップアップするためのベースとなる施設です。
- 坂本
- 当社の魅力を引き出し、さらなる顧客満足度向上につながる、次世代を担う社員を育てていきたいと考えています。
プロジェクト概要
事業主・ 施設運営者 |
日本リーテック株式会社 |
---|---|
発注者(GMr) | 東京建物不動産販売株式会社 |
所在地 | 〒302-0039 茨城県取手市ゆめみ野4-2-1 |
建物用途 | 研修施設(寄宿舎、その他) |
面積 | 敷地面積 約19,700㎡/建築面積 約3,700㎡/延床面積 約8,000㎡ |
規模/構造 | <屋内研修設備> 研修所棟 :地下1階・地上2階・教室6室・実習室8室・多目的ホール・会議室2室・宿泊室32室/ RC造一部S造 <屋外研修設備> 信号・通信実習棟:地上2階/ S造 発変電実習棟:地上1階/ S造 ホーム設備:S造 トンネル構造:RC造 |
基本計画 | 山下PMC |
設計・管理 | 株式会社日建設計、東鉄工業株式会社JV |
統括・施工・ 積算 |
東鉄工業株式会社 |
外構工事施工者 | 日本リーテック株式会社 |
CM業務期間 | 2015年11月~2018年5月 |
CMr | 株式会社山下PMC |
山下PMC 担当者 |
三河一喜、林 智彦、池上知久、間下典大、三岡裕和、山添康彦、岡部 篤、藤澤啓一、大橋昭英、迫田 進 |
関連する用途
-
教育/文化/アート
少子化が加速する社会において、学校づくりも新たな局面を迎えています。老朽化の進む学校施設を、品質などの標準化を図りながら整備したり、場合によっては民間からの活力を導入する仕組みや、施設の統廃合を視野に入れた検討も行わなければなりません。私立学校では学生獲得戦略に基づいた、ブランディングや魅力ある施設づくりも重要です。また文化・アート施設では、多様化する社会のニーズに応えるため観賞を主眼に置いた施設から体験型、食事や買い物も楽しめる複合型やリアルとバーチャルの融合への対応など、施設の役割・機能の転換が進みつつあります。
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