プロジェクトストーリー
日本リーテック総合研修センター[ゆめみ野学園] 線路、踏切、トンネル……現場と同じ環境で若者世代が充実した研修生活を送れる施設を(中編)
鉄道・道路・屋内外電気・送電線設備
現場さながらの研修ができる理想の施設
判断の連続。山下PMCさんが専門家の視点から最適解を導いてくれました
―完成した施設には、研修の他、食堂や寝室、浴室などの機能が備わっていますね。
- 池上
- 実は、当初の計画から大きな変更をしました。設計者が、土地の高低差を活かし、実習・研修・宿泊の機能を、三層構造に積み重ねたひとつの施設にすることで、より空間を有効活用するアイデアを出してくれたからです。
- 船木
- これは、池上さんがプロの目線から、よりよい提案を引き出してくれたおかげです。
- 池上
- 設計者が、私たちの作成した要項書を徹底的に読み込んで理解し、ベストな提案をしてくれました。動画や模型も使った提案で、完成形が具体的にイメージできました。
- 船木
- あのプレゼンテーションは感動的でした。デザインはもちろん、コミュニケーションを誘発するラーニングアトリウムという大きな吹き抜け空間やU字屋根構造、太陽の日射角度など環境対策についても考えられていました。
- 坂本
- 実習室、教室、宿泊室に加え、多目的ホールがあり、フロアー毎に明快にゾーニングされ、学習環境、居住環境がひとつの施設内で完結するよう上手に造られていて、とても使いやすそうだと感じました。
トンネル設備。トンネル内作業、照明設備の訓練をする。
―プロジェクトで難しかった点はありますか?
- 池上
- 一番課題だったのは工期です。10年目を迎える2018年4月の完成目標から逆算して、残りは8ヵ月しかない。実際の工事では研修棟の工区を3つに分けて、すべての工事を同時進行で行うことになりました。
- 船木
- これでかなりの時間が圧縮されました。
- 池上
- また、この施設はコンクリート打ち放しなので、経年変化が懸念材料でした。そこで、同じ素材を使った建物を見学に行ったり、4パターンのモック(実物大の試作)を作成し、雨垂れによる汚れの影響の検証を行ったりしました。
- 船木
- 参考となる現場を見て、現物をつくり、状況を再現する。そして維持管理も考慮に入れて設計へ反映していきました。
- 池上
- 建築の場合、少しでも要件が漏れていると手戻りのリスクにつながりますが、「性能発注方式」を採用し、要件をすべて盛り込むことで、コスト増大を防ぎました。
踏切保全装置。踏切機器単体取り替えの実習を行う。
- 船木
- VE(バリュー・エンジニアリング)の点で、判断を求められることが多々ありました。週1回の会議の他にも、日々判断の連続でした。しかし、建築の問題は、専門家でないと決めることが難しい。ひとつ判断を誤るだけで性能が落ちることもあるのです。そんなときに、山下PMCさんが根拠となるデータを提示しながら最適解をアドバイスしてくれました。池上さんに全幅の信頼を置いて、設計と工事を進めることができました。
- 池上
- 品質とコストのバランスは常に意識していました。船木さんの案内で同業他社の研修施設を見学させていただいたこと、そして、社員の皆さんが大切にしている設備や技術を知ることで、優先順位を明確につけることができました。
- 船木
- 工期、仕様の変更、技術的な問題……思い返してみてもやはりこの施設の建築は、自分たちだけでは厳しかったと思います。コスト管理も同様で、予算内に収めることができました。
交通信号システムの理解、設置やメンテナンスの実習を行う。
関連する用途
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教育/文化/アート
少子化が加速する社会において、学校づくりも新たな局面を迎えています。老朽化の進む学校施設を、品質などの標準化を図りながら整備したり、場合によっては民間からの活力を導入する仕組みや、施設の統廃合を視野に入れた検討も行わなければなりません。私立学校では学生獲得戦略に基づいた、ブランディングや魅力ある施設づくりも重要です。また文化・アート施設では、多様化する社会のニーズに応えるため観賞を主眼に置いた施設から体験型、食事や買い物も楽しめる複合型やリアルとバーチャルの融合への対応など、施設の役割・機能の転換が進みつつあります。
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