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スペースマーケット重松大輔氏に訊く「空きスペースが新ビジネスを生むって本当?」

スペースマーケット重松大輔氏に訊く「空きスペースが新ビジネスを生むって本当?」

起業してわずか3年足らずで急成長。シェアリングビジネスの分野で存在感を増すスペースマーケット。
建物の一画でも野球場でも、空いているスペースがあってそれを利用したい人がいれば、確かに取引は成立するし、マーケットは生まれる。すでにストックされたスペースは1万件以上。新しいマーケットづくりに成功した重松大輔氏に、その仕組みと成功の理由をうかがった。

イベント成功のカギは場所探しから始まる

スペースマーケットさんの仕事の内容を教えてください。

一言で言えば、空きスペースのマーケットプレイスです。どこかの場所を貸したい人と借りたい人の間にいて、それをマッチングさせるという仕事です。会議室から映画館、野球場、はたまた古民家など、借りたいと思われるスペースならなんでも扱います。基本的には、借り手から5%、貸し手から30%の手数料をいただくというのが、当社のビジネスモデルです。

急成長をされていますね。

起業したのは2014年です。当初は、企業の所有している空きスペースを別の企業に貸すことができればそれがビジネスになるだろうと考えていて、出発はBtoBでした。しかしすぐに、世の中にはさまざまな空きスペースがあり、しかも時間や時期を限定すれば借りられる場所がたくさんあるということに気がつきました。そこで早い段階で、お寺さんだとかお化け屋敷だとか無人島だとか、さまざまな場所にアプローチしました。会社を興した年はまだ100スペースほどでしたが、現在、取り扱いスペース数は1万件以上です。

爆発的に物件の数が増えたのはいつ頃ですか。

2016年ですね。この年、シェアリングエコノミー協会が活動を開催したことが象徴的なように、一般にも「シェアリング」という言葉が浸透していったように思えます。個人のお客さまが急増していき、現在は法人と個人で売り上げとしては半々のところまで伸長しています。

BtoBとBtoCでは仕事のスタイルは違うのですか。

BtoBでは、個別の課題に対してソリューションを提供するスタイルになります。自社の目的にあったスペースを借りたい企業さんには物件を探すところまでお手伝いしますし、逆にスペースを貸したい企業さんにはプロモーションのお手伝いもします。

たとえば、企業さんがテストマーケティングの一環として、ポップアップ・ストア(期間限定の仮店舗)を出店したいという希望があれば、その出店先を探します。若者が行き交う渋谷の街角で、新しいラーメンチェーン店の集客力を試してみるというような使い方もありますし、また別の例では、ある飲料メーカーが不動産管理会社のキャンペーンに合わせて、おしゃれなカフェのスペースを借りているお客さまに、新しい自社商品を試飲してもらうというキャンペーンを行ったことがあります。お客さまは割安でスペースを利用することができ、その商品も試飲できる。その代わりにインスタグラムで商品を紹介してもらうというような使い方です。

なるほど。ビジネスでの利用はいろいろとありそうですね。

学生を集めたい就職関係のセミナーなどは、ちょっと前まではありきたりのホールで行われていましたが、いまでは教会とか遊園地とか意外な場所が使われるようになってきました。そんな集客装置としてのスペースを探しておられる企業さんに、当社ならではの提案を行っています。

また、新しい動向としては「オフサイトミーティング」のニーズが高いです。場所を変えることで、より活発な議論が生まれたり、集中したミーティングができると喜ばれています。古民家やお寺、もっと意外なところでは他社の会議室でという希望もありました。

スペースを借りることで、より豊かな生活を演出できる

では個人客のほうはいかがですか。

ご存じかと思いますが、コスプレ撮影会はいま人気がありまして、テレビなどでも紹介されていますね。山奥にある古民家を借りて、アニメキャラの衣装に身を包んだコスプレイヤーが集い、写真撮影をして楽しんでいます。

そんな利用の仕方もあるんですね。都会ではどんな利用スタイルが一般的ですか。

仲間とパーティに使う場所を探すというニーズは根強いものがあります。たとえば、閉店後のカフェを借りられたら、そこのキッチンを使って自分たちで料理することができます。センスのいい空間で、好きな音楽や映像を楽しみながら、仲間とゆったりとした時間を過ごせます。

物件にもよりますが、相場感としては1時間3000〜5000円。大人数が入るスペースではもう少しかかります。4〜5時間借りてたとえば2万円、これを4人で割れば1人あたり5000円、6人なら3500円弱。居酒屋に行くよりも満足度は高いのではないでしょうか。そのほかにもコンサートをしたい、個展を開きたい、結婚式を、スポーツを……等々、さまざまなリクエストがあります。利用者数でいうと、お客さま全体の中で個人が7割を占めます。

どうやって利用できるのですか。

当社のウェブサイトに来ていただいて、アプリをダウンロードしてもらいます。これを使って借りたい物件を探していただき、借りる物件が決まったら登録して申し込む。貸し手のOKが出たら、その後は直接やりとりしてもらいます。貸し手と借り手は、基本的にはプラットフォームを通じてメッセージのやり取りをしていただき、下見をしていただいたりするケースもあります。


貸し手側は企業が多いのでしょうか。

貸し手は企業の場合も個人の場合もあります。しかし、今後は個人間の取引がどんどん増えていくでしょうね。

聞き手・文:陣内一徳
写真:鈴木愛子

次回、「スペースマーケット重松大輔氏に訊く『シェアリングビジネスの未来』」では、シェアリングビジネスの今後についてお話をうかがいます。

重松大輔
Shigematsu Daisuke

1976年、千葉県生まれ。早稲田大学卒業後、2000年にNTT東日本入社。主に法人営業企画、プロモーションを担当。2006年 に同社を退社し、社員十数人のベンチャー企業・フォトクリエイトに入社する。一貫して新規事業、広報、採用に従事する。事業基盤であるインターネット写真サービスやフォトクラウド事業の企画を手掛け、東証マザーズ上場に貢献した。2014年1月に全国の貸しスペースをマッチングするスペースマーケットを創業。現在に至る。また、2016年1月に発足したシェアリングエコノミー協会では、代表理事を務める。