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建設市況レポート

建設市況レポート(24年12月)

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物価上昇の世界

いよいよ年の瀬です。
皆さまにおかれましては、どのような一年でしたでしょうか。

多くの建設プロジェクトに携わる身として振り返ると、今年も様々に物価上昇と対峙した一年であったと言えます。
こちらのコラムでは毎月、建築費指数や主要資材価格の動向を掲載していますが、上がることはあれど、下がることはほとんどないという情勢でした。
実際の建設プロジェクトでは、想定を超える建設費が提示されることも珍しくありませんでした。

建設コストについて、少し分解して見てみます。
建設コストの構成要素は(1)資材費 (2)労務費 (3)運搬費 (4)経費となります。
(1)、(2)、(3)それぞれ単体で見た時の上昇率と、建築費指数の上昇率との比較を図表1に示します。

図表1「建設費に関する各指数の比較」

出所:S造建築費指数:建築調査物価会 建築費指数 構造平均S 工事原価を採用
建設資材:日本銀行 企業物価指数 2020年基準/国内企業物価指数(鉄骨/鉄筋/生コン/板ガラス/鋼管/ケーブル)の年平均指数を採用
公共労務単価:国交省 公共工事労務単価 全国/全職種平均賃金を採用
運搬費指数:日本銀行 企業サービス物価指数 運輸/郵便の指数を採用

これを見ると、建築費指数、労務費、運搬費の上昇率に対して、資材費の上昇率が顕著であることがわかります。

資材費(物価)の上昇に建築費指数(建設費)や労務費(賃金)等が追いついておらず、物価上昇が建築費指数等に転嫁できていない状況を表しているようにも見えます。

ここから推察されることは、建築費指数、労務費や運搬費は今後も上昇する可能性があるということです。

また、冒頭で述べたように、実際のプロジェクトにおいては驚くような建設費を目の当たりにしています。
これは、建築費指数のじわじわとした上昇では追いつかない、現在の実態との乖離が歪みとなって表出しているようにも思えます。
つまり、ロジカルに積み上げて算出できるコストと、情勢により変動するプライスとの乖離が顕著な状況であるということです。
特に、昨今の設備費用の大きさは予見はおろか説明も困難なほどです。

このような局面では、コストとプライスとを、今まで以上に別物として捉え、予見できないプライスに対して、コンティンジェンシー費用を見込む等の対応が必要と実感します。

ご承知の通り、インフレは全世界共通で起こっている事象です。
選挙イヤーであった本年は、物価上昇からくる人々の生活苦から、様々な地域で既存体制を否定する結果となりました。
我が国における103万円の壁というテーマも物価上昇に端を発するものです。
来年の賃金水準がどうなるのかも非常に興味深いポイントです。
トランプ大統領となりどのような政策が為されるのか、世界経済に不確実性が増す中で、我々はそれでも施設建設を通じて経済活動を営み、前に進む必要があります。
このような情勢だからこそ、我々は発注者に寄り添い、支援を行う必要があると感じます。

資材、建築費指数の傾向

鉄鋼系資材(鉄スクラップは除く)は下降、RC系資材は横ばいです。

鉄スクラップは横ばい、銅及び電線は下降しています。

建築費指数はS造が0.5P、RC造が0.3Pそれぞれ下降しています(ここに来て、ここ数年来でも比較的大きな下降幅となっています)。

資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)

出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ それ以外:2011年4月比

推移傾向

下降

建築費指数 東京 事務所 S 建築

現状位置

  • 鉄スクラップ H2 東京

下降

  • 山形鋼6×50ミリ 東京
  • 異形棒鋼16ミリ 東京
  • 熱延鋼板1.6ミリ 東京
  • H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京

資材、建築費指数の推移(RC系)

出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ 上記以外:2011年4月比

推移傾向

下降

建築費指数 東京 事務所 RC 建築

現状維持

  • セメント バラ 東京
  • 普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
  • 生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
  • 【3代目】アナリストK

    株式会社山下PMC
    プロジェクト統括本部 事業推進第二部門 5部 部長

    岩下孝樹
    【3代目】アナリストK
  • アシスタントM

    株式会社山下PMC
    プロジェクト統括本部 事業推進第一部門 2部

    松尾一輝
    アシスタントM

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