建設市況レポート(23年11月)
今月の建設市況と今後の見通し
工事費以外の建設業界のデータから
今回は高止まり感が続いている工事費に関してではなく、建設業界全体の状況について触れたいと思います。
国土交通省から5月に出されたデータによると、建設投資額は1992年(H4年)の84兆円をピークに下降を続け、2010年(H22年)には42兆円の約半分にまで落ち込みました。
しかし、その後震災復興や東京オリパラなどにより2022年(R4年)には67兆円にまで(ピーク時の約20%減)まで回復してきています。
そこで問題になるのは、受け手側の建設業就業者数になりますが、1997年(H9年)の685万人をピークに現在も下降を続けて2022年(R4年)には479万人と約30%を減少しています。
この約30%の就業者数減の労力を補う工業化やDX化による効率化が図られていれば問題は小さいのですが、ハウスメーカーの様な工業化が難しい建設業においては、そのまま労務不足となって業界の課題としてクローズアップされています。
堅調な建設投資意欲に対して受注側の建設就労者は減少していることから需給のバランスが崩れて工事費が高騰する、という図式がなってしまうのが高騰の要因の一つと言えると思います。
結局、工事費に繋がってしまいました……。
さて、下記に先月のコスト状況(11月初旬発表)をお伝えします。
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材について、スクラップは上昇していますが、その他は横ばいです。(先月と同様)
RC系資材について、先月に続き、横ばいです。(先月と同様)
建築費指数について、S造、RC造とも先月に続き上昇傾向です。(1.5~2.0Pの上昇です)
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京