超高齢社会を向かえうつ共創(産官学連携)の力
東日本大震災の爪跡はただでさえ地盤沈下している観光産業の空洞化に拍車をかけました。
この観光産業の空洞化がもたらした“ まち” には空室で苦悩する旅館・ホテルがあり、活気を失った商店街や遊休化したリゾートマンション・研修所・保養所などがあります。
一方、2015年には団塊世代が65歳以上の高齢者に仲間入りし高齢者が3,000万人を超えます。
いずれ、高齢者が人口の3人に1人となるような超高齢社会が到来することは分かっていながら、社会保険制度やシニアライフの変化に対応できる社会システムについては今のところ対処療法の域を出た抜本的な改革案はなさそうです。人生100年時代を見据えた安心して老いることが出来る社会システムを創っていくことは、世代間を超えた我々の喫緊の課題となっています。
そこで、我々は地域再生と超高齢社会の双方の課題を克服する為の“ 地域再生モデル” の一環として“A 町再生まちづくり” 構想に取り組もうとしています。
このプロジェクトでは矛盾する複合的な課題に同時に取り組む覚悟と知恵が必要となります。
具体的な課題・目標とは
1.産業・行政・大学・福祉・医療が一体的に連携し、A 町の“ 温泉” を中核として活用することで高齢者が“ まちづくり” と“ くらし” に深く関わり、生きがいをもてる未来型の“ シニアコミュニティ” のモデルを創生することにあります。その方策のひとつのアイデアとしては「官」による“ 健康長寿まち宣言”のもとでシニアライフプランの受け皿 として遊休施設や旅館・ホテルの空室を有効活用出来る仕組みを創ることが考えられます。
2. A 町再生のキラーコンセプトのひとつを“ 温泉と統合医療による予防医療”に求め、体の健康・心の健康に配慮した“ シニアコミュニティ” のサポートシステムを構築します。
また、その効用・効果をロールモデルとして広く一般に公開・普及し観光再生に活かします。
3. 「民」の資本力・技術力・知識力・労働力・ビジネスリーダー力を活用した持続可能な“ まち” づくりをビジネスシステムとして機能させます。年金の範囲で安全安心な“くらし” を実現できる社会システムを構築する為に「官」による公的サービスプランの充実や新たな需要の喚起と雇用創出が欠かせません。
“A 町再生まちづくり” 構想の目的は、これまでの多くの自己完結型のシニアコミュニティの領域ではなく、より広域な地域コミュニティの中で、潜在的な地域力を引き出し、シニアが世代を越えて積極的に社会参画できる仕組みづくりです。
“A 町再生まちづくり” 構想への取り組みがきっかけとなり、定年後の生活設計を誰もが前向きにイメージでき、安心して老いることが出来る社会システムの一つのモデルとなればと考えています。