プロジェクトストーリー
GLP ALFALINK相模原(後編)
見たこともない施設を認知させ人を呼び込むにはブランディングが重要
GLP ALFALINK相模原1は2021年8月竣工、株式会社ギオン、佐川急便株式会社、西濃運輸株式会社などが入居。GLP ALFALINK相模原2は、2023年5月竣工予定。
GLP ALFALINK相模原3(2021年10月竣工)とGLP ALFALINK相模原4(2022年11月竣工予定)はBTS型施設で、大手EC企業が入居予定。
庫内には、入出庫をスムーズにする両面バース、全館空調、大型シーリングファンを採用。自動化・省人化を目的とする最新設備の設置にも対応できるように、1階の天井高を標準的な倉庫よりも高く設定するなどの特徴がある。
GLP ALFALINK相模原3(2021年10月竣工)とGLP ALFALINK相模原4(2022年11月竣工予定)はBTS型施設で、大手EC企業が入居予定。
庫内には、入出庫をスムーズにする両面バース、全館空調、大型シーリングファンを採用。自動化・省人化を目的とする最新設備の設置にも対応できるように、1階の天井高を標準的な倉庫よりも高く設定するなどの特徴がある。
ブランドの強いメッセージが全体の意思統一につながった
イメージを変える、“次”を埋める言葉を探す。そこからブランディングの必要性へと発展したきっかけは何ですか?
- 三好
- 毎週、会議を重ねるなかで、従来のように個々の施設内に共有スペースを確保するだけでは「物流施設のイメージ」を変えることは難しいという共通認識ができてきました。そこで、独立した共有施設棟のための敷地を確保する決断がされたことが大きなきっかけとなりました。
- 山後
- 共有施設棟をつくろう。その決断は、良い物をつくればいいという従来型の個別最適の発想だったと思います。それに対して、新しい施設、見たこともない施設を認知させ人を呼び込むにはブランディングが重要であると山下PMCさんから提案されました。
- 三好
- 山下PMCでは、これまでにも物流施設のブランディングを実現した経験があります。今回、山後さんたちの「物流の“次”」への思いを受け止め、それを広く分かりやすく伝えるための手段としてクリエイティブディレクターの登用を提案しました。そこからはスムーズに進みました。日本GLPさんの思いやアイデアを先鋭化するのにどなたが適任か考え、私たちから、SAMURAI・佐藤可士和さんをお薦めしました。
新しいブランドができたことで、何か変かはありましたか。
- 高見
- ブランドをつくるという発想自体、当社内のインハウスの業務からは出てこなかったでしょう。しかし「ALFALINK」という名称、ステートメントなど「この施設だから実現するこれからの物流の変化」は、それまで私たちが語り合ってきたこれからの理想の施設そのものでしたそれを言葉で日本GLPとして目指すという「物流の“次”」の姿として表現でき、どれもスッとふに落ちました。
- 山後
- 最初はブランドと聞いて、書面上の仕様や見た目のデザインと思っていましたが、それだけではありませんでした。私たちがずっとモヤモヤを抱えていた新しい物流施設のイメージの真ん中が、「ALFALINK」というブランドに見事に射抜かれていました。そして「3 KEY CONCEPTS」を柱に語ることで、社内の理解、さらに社会に対して一致したイメージの発信が可能になり、当社がお客さまや社会に対して「ALFALINK」で提供したい価値とは何か? メッセージを明確に発信できるようになりました。
- 野澤
- ブランドによって価値実現の先鋭化がなされ、意思統一につながりました。それは施工現場にも浸透し、課題やスケジュールの壁にも一丸となって「絶対クリアしよう」という気運が高まっていきましたね。
今回の山下PMCの参加にどのような感想をお持ちですか。
- 弥久保
- 竣工直前まで、やりたいことの実現のために予定外のことが続き、その度に現場や自治体を調整し、「絶対クリアしよう」の先頭に立っていただいた。
- 高見
- プロジェクトを遂行するためのPM/CMだけでなく、事業の実現を一緒に盛り上げていくという意味でパートナーという言葉がふさわしい存在でした。
- 山後
- 当社だけでは見えない世界、知見、アイデア、ネットワークも提供いただいた。同調ではなく、理解し、心が通じ合うチームとして、私たちのやりたいことにしっかり意見を言ってくれる存在でした。関係の中から、今後ももっとすごい施設ができるのではないかと期待しています。
- 共用施設棟「リング」内のレストラン・カフェとその厨房。作りたて・こだわりのおいしい食事を手頃な価格で提供する。朝から営業している併設のカフェテリアではドリンク・軽食を提供。多くの人が利用できWi-Fi も完備し、ワークスペースとして活用できる。
プロジェクト概要
事業主 | 日本GLP株式会社 |
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所在地 | 神奈川県相模原市中央区田名字赤坂3700-1 |
建物用途 | 物流施設 |
面積 | 総延床面積:約67万㎡(GLP ALFALINK相模原全体) 総敷地面積:約30万㎡(GLP ALFALINK相模原全体) GLP ALFALINK相模原1延床面積:約33万㎡ |
設計・施工 | GLP ALFALINK相模原1、2:株式会社竹中工務店 GLP ALFALINK相模原3、4:東急建設株式会社 |
クリエイティブディレクター | SAMURAI・佐藤可士和 |
PMr/CMr | 株式会社山下PMC |
PMr/CMr業務期間 | 2017年7月~2023年5月 |
山下PMC担当者 | 三河一喜、井上茂樹、柳原剛、吉見周平、野澤孝之、三好涼子、阿久津太一、吉川大輝、志賀重貴、髙野直樹 |
プロジェクトに関わったマネジャー
関連する用途
-
物流施設
EC(Electric Commerce:電子商取引)事業の需要拡大をはじめとして、物流施設の性質や機能は時代とともに大きく変化しつつあります。コールセンターや撮影スタジオを併設した物流施設や物流業務の効率化、省人化を目的としたマテハン(マテリアルハンドリング:モノの移動)機器に対応する大規模高機能型物流施設などは、その一例といえます。同時にBCP(事業継続計画)への関心が高まり、耐震性能の高い安心・安全な建物や、災害時に速やかに復旧できる施設が求められています。環境への配慮も欠かせない要素であり、街づくり的なアプローチが必要な施設もあります。これらの新しいニーズが高まる一方で、施設の大型化に伴い、保管や荷役の集約化が進み、これまで以上に競争力のある施設の実現も求められています。