プロジェクトストーリー
GLP ALFALINK相模原(中編)
プロジェクトのブレイクスルー
敷地中央にある供用施設棟「リング」。リング状をした2階建ての建物で、コンビニやレストランのほか、中庭ではレジャーシートを敷いたピクニックや、地域イベントなどの利用を想定している(利用規約あり)。
日本の高い品質の物流を支える人々のための施設
働き手の不足は、あらゆる産業の課題ですね。「ALFALINK」「3 KEY CONCEPTS」では、施設の特徴としてテクノロジーの提供と合わせて雇用のサポートもソリューションに挙げています。
- 山後
- 日本の物流はとてもクオリティーが高い。梱包材の取り扱いから正確な配送作業まで、全工程で担当者が改善を重ね、高い品質を維持しています。そのすべてをロボット化・自動化することは不可能でしょう。働きたい職場としての物流施設を実現するため、供用設備の充実に取り組んできましたが、「30万平方メートルのまち」だからこそできる改善があるのではないかと考えました。
課題と可能性の両面に対し、どう取り組もうとしたのですか。
- 山後
- 明確になった課題への対応。そして、従来の「物流施設」ではない「まちづくり」を説明する言葉や具体的なイメージは、自社のメンバーだけでは出てこない。それこそが課題だと気付きました。
- 弥久保
- 当社には不動産の専門家、設計や技術畑の実務者がいますが、新たな視点も加えて大きなプロジェクトに取り組むには、チームを作るだけの人員確保が難しい。そこは限界でもあると同時に、だったらいろいろなアイデアか、情報を取ってくるには外部の力を借りればいい、その必要性を明確にする機会にもなりました。
- 高見
- 外部からチームのメンバーを加えるのがベターな方法と判断し、山下PMCさんがチームに参加したことで、第三者の視点から施設づくり、まちづくりの課題の検証・整理が可能になりました。このプロジェクトのブレイクスルーとなったと思います。
- 「リング」内1階の「イートインスペース」は、多くの人が利用できるワークスペース。コンビニに隣接し、Wi-Fiも完備している。
- 「リング」内の中庭。
- 「リング」2階のデッキ。
山下PMCは、どのような体制を整え、プロジェクトへの参加し、具体的なサポートをしていきましたか?
- 井上
- イメージをコンセプト化していくというソフト面の協議を重ねつつ、敷地内の既存の建物を撤去しながら地元自治体との行政協議を進めていくハード面も担う。その2つの体制を整え、まずはグランドデザインづくりに入りました。そこで山後さんに言われたのが「物流施設の“次”を一緒に考えてほしい」という言葉です。
- 山後
- 時代の要請に応じて役割が変わり、いつしか「物流施設」という言葉は一般用語として誰もが使うようになりました。同様に相模原の取り組みが実現したら、新しい“次”の言葉が生まれてくるのではないか。そうした未来の姿を先取りする言葉探しをグランドデザインにしていこうと考えたのです。
- 高見
- 当社内の事前の対話では、自動運転の導入、送り出すだけではない物流の全工程を担うサプライチェーンに近いものを構築した施設、力強い雇用の創出などのアイデアが出ました。一つひとつは誰もが「イイね」と共有できたのですが、その真ん中をスポッと射貫く言葉が持てずにいました。
- 野澤
- この時点では、まだ新たなブランドを立ち上げるという話は出ていません。山下PMCが持つ、さまざまな規模や目的の施設に携わった実績、多くの引き出しを活用し、物流施設のイメージを変える言葉を“次”の中に入れようとしている段階です。
実務担当としては、土地開発に伴う現場の調整と自治体との対応も得意とする人員も揃えました。施設づくりには、施設を利用されるお客さまの希望やスケジュールも影響します。
決められた残り時間の中でギュッといい仕事を積み重ねていく臨機応変さも山下PMCの強み、チーム力の見せ所です。 - 山後
- コンセプトを決めて、計画を立て、そこからスタートできればいいのですが、取得した土地をどれだけ早く開発できるかというのも重要です。2つの課題に同時進行で取り組める体制を整えていただいたのは心強かったですね。
- 「GLP ALFALINK相模原」は、都心から40㎞圏内、東名高速道路や圏央道へのアクセスが良好な関東広域配送の物流拠点として最適な立地。今後、リニア中央新幹線の開通、小田急多摩線の延伸、JR相模線の複線化も予定。
プロジェクトに関わったマネジャー
関連する用途
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物流施設
EC(Electric Commerce:電子商取引)事業の需要拡大をはじめとして、物流施設の性質や機能は時代とともに大きく変化しつつあります。コールセンターや撮影スタジオを併設した物流施設や物流業務の効率化、省人化を目的としたマテハン(マテリアルハンドリング:モノの移動)機器に対応する大規模高機能型物流施設などは、その一例といえます。同時にBCP(事業継続計画)への関心が高まり、耐震性能の高い安心・安全な建物や、災害時に速やかに復旧できる施設が求められています。環境への配慮も欠かせない要素であり、街づくり的なアプローチが必要な施設もあります。これらの新しいニーズが高まる一方で、施設の大型化に伴い、保管や荷役の集約化が進み、これまで以上に競争力のある施設の実現も求められています。